「魔法の鏡」の画面
「魔法の鏡」の画面
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 東北大学は2016年9月27日、血行状態モニタリング装置「魔法の鏡」を開発したと発表した。ビデオカメラとコンピューターを内蔵した鏡型ディスプレーの前に立つだけで、その時の血行状態などが分かる。「第39回 日本高血圧学会総会」(2016年9月30日~10月2日)に出展する。

 この技術では、ビデオカメラで撮影した身体映像から、皮下の血液中のヘモグロビンが吸収する緑色信号に基づいて、脈波伝搬時間を推定する。身体映像の領域をモザイク状の小領域に分割し、各領域の緑色信号のうち心拍周波数近傍の成分が強いものだけを選択。心拍変動に無相関な運動や周辺光変化による雑音成分は、リアルタイムにキャンセルする。

 さらに、映像脈波情報から脈波伝搬時間や血行状態を推定するために、身体の異なる2カ所の領域間における信号の位相差を抽出する。各モザイク領域を変遷する2次元的な血行パターンを顔などの実映像に重畳して表示することで、その変化と自分の体調変化を比較できる。

 この「魔法の鏡」を洗面所や鏡台に取り付ければ、毎朝の身支度などの際に、自分の顔に重畳する血行状態を観察可能だ。風呂場などの脱衣所に取り付ける場合は、ビデオカメラを後方に取り付けることで、普段は見えない肩や背中の血行状態を観察できる。

 今後、心拍数変動や脈波振幅変動などから得られる自律神経系指標を表示することを目指す。インターネットを介した遠隔見守りによる体調管理や、自動車内の体調管理、テレビ視聴者の感情分析などへの応用も期待されるという。