スウェーデンEricsson(エリクソン)社は2017年9月20日、英BTグループと共同でまとめた5Gネットワークスライシングの経済効果調査レポート概要を自社サイトに掲載した(ニュースリリース)。ネットワークスライシングの運用自動化を進めた場合、IoT機器での各種サービス促進を支援するのみならず、費用削減や投資効率向上も見込めるとしている。

 この「CALABLE NETWORK OPPORTUNITIES」レポートは、同社サイトから入手可能(Ericsson社レポートダウンロードサイト)。以下は、その概要である。

 移動通信機器の増加に伴い、データ通信量は急激に増大している。Ericsson社の調査では、2022年までに、コネクテッドカー、機械類、メーター、センサー、店頭端末、家電、ウェアラブル製品など180億ものIoT機器がネットワークにつながると予想されている。

 これらIoT機器は、いくつかの種類に分類することができる。遠隔手術や工場で使用されるクラウド制御ロボットなどは、C-MTC(Critical Machine Type Communication)と呼ばれ、超低遅延、高信頼性、高スループットが要求されるが、比較的小規模なシステムとして運用される。スマートシティのセンサーグリッドや車両追跡システムなどに使われるM-MTC(Massive Machine Type Communication)は大規模だが、低スループットでも対応できる。

 事業者はこうした多様な要求に対して、柔軟かつ効率的に対応していかなければならない。ネットワークスライシングは、公共のネットワークを複数の論理ネットワークに分割し、個々の異なるサービスに提供することができる点で、こうしたビジネスモデルに十分対応可能な技術だと言える。今回は、経済効果の観点から、ネットワーク上の新サービスを導入する際の方法として、次の3つを比較していく。

 (1)1つのネットワークで複数のサービスに対応する方法

 (2)専用リソースを持つ複数のネットワークで個々のサービスに対応する方法

 (3)ネットワークスライシングで対応する方法

3つのネットワーク形態での経済効果を比較する
3つのネットワーク形態での経済効果を比較する
出所:Ericsson社
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