米国の大手電力事業者であるDuke Energy社は9月21日、ノースカロライナ(NC)州の西部2カ所で定置型蓄電池システムを設置する計画を発表した。総投資額は3000万ドルで、同社の「Western Carolinas Modernization Plan(両カロライナ州西部の近代化プラン)」の一環となる。

 同社は数カ月間にわたって、この地域の関係者と今後のエネルギー・ニーズに関する取り組みを進めていた。

 代表的なのが、バンコム(Buncombe)郡とその郡庁所在地であるアシュビル(Asheville)との継続的な協力関係に基づく取り組み「エネルギー革新タスクフォース(EITF)」である。EITFが焦点としていたのが、同地域での電力供給サービスを改善するための定置型蓄電池といった新技術だったという。

 Duke Energy社で両カロライナ州西部近代化を担当するRobert Sipes副社長は、「ノースカロライナ州の西部には遠隔地があり、既存の電力インフラを支えるために多くの資源が追加で必要となるなど、蓄電池技術を活用するうえで理想的な場所だ」と述べている。

 具体的には、まずアシュビル市内のロックヒル(Rock Hill)地域にある同社の変電所に出力9MWのLiイオン蓄電池システムを設置する。このシステムは、周波数制御など主に電力網の運用を効率化するための業務に活用する。

 マジソン(Madison)郡のホットスプリング(Hot Spring)では、出力4MWのLiイオン蓄電池の設置を計画しており、同町における電力の信頼性改善を中心に電力網全体でのサービス提供、さらに太陽光発電設備の併設も検討しているという。

 同プロジェクトのさらなる詳細は、2018年の初めにノースカロライナ州公益事業委員会(NCUC)への申請で明らかにする。両プロジェクトとも2019年の稼働を見込む。

 Duke Energy社は、この地域で既に小型の定置型蓄電池を稼働させた実績がある。具体的には、ヘイウッド(Haywood)郡のスモーキー山脈国立公園にある通信塔に電力を供給するために容量95kWhの亜鉛空気電池と出力10kWの太陽光発電システムを設置した。このシステムは、今年初めに運転を開始している。

 両カロライナ州西部の近代化プランの一環として同社は、アシュビルにある老朽化した石炭火力発電所を2019年に閉鎖し、より環境負荷の低い天然ガス火力発電所に置き換えることも計画しているという。