イタリアの大手電力会社であるエネル(Enel)社は9月18日、ブラジルで合計出力546MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)2件が稼働を開始したと発表した。南米で稼働中のメガソーラーとしては最大規模という。

 再生可能エネルギー事業をブラジルで行うために設立したグループ会社、エネル・グリーン・パワー・ブラジル(EGPB)社を通じて進めていたもの。

 同メガソーラーは、ブラジル北東部のバイーア(Bahia)州のタボカス・ド・ブレージョ・ヴェーリョ(Tabocas do Brejo Velho)にある出力254MWの「Ituverava」と、同北東部のピアウイ(Piauí)州のリベイラ・ド・ピアウイ(Ribeira do Piaui)にある出力292MWの「Nova Olinda」(関連記事1)。

 Nova Olindaでは、太陽光パネル93万枚近くをステップ地域にある690haの用地に並べた。運転開始後は、フル稼働の状態で600GWh以上の発電量を見込む。これはブラジルの平均的な世帯30万軒が1年間に消費する電力量に相当し、35万tの温室効果ガス排出量を抑制する効果があるとしている。

 Nova Olindaの建設において、エネル社は約3億ドルを投資したという。これは同社が策定した戦略計画の一環であり、同社自身の経営資源とブラジルの地域開発銀行であるBanco do Nordesteからの長期融資で資金を調達した。

 Ituveravaでは、約85万枚の太陽光パネルを579haの用地に設置した。運転開始後は、ブラジルの世帯26万8000軒分の電力消費量に相当する550GWh以上の発電量を見込む。温室効果ガスに換算した場合、31万8000t以上の排出量を抑制できるとしている。

 Ituveravaの建設では、Nova Olindaと同様に現在のエネル社の戦略計画の一環として、約4億ドルを投資した。同社自身の経営資源に加えて、中国銀行とサンタンデール銀行からの長期融資で資金を調達し、中国輸出信用保険公司(Sinosure)が信用保険で支援したという。

 両メガソーラーとも、ブラジルの電力事業者であるChamber of Commercialisation of Electric Energy (CCEE)と20年間の電力購入契約(PPA)を締結している。

 ブラジルにおいてエネル社は、子会社であるEGPBとEnel Brasil社を介して、再生可能エネルギーの設備容量を約2276MW保有している。内訳は、風力が670MW、太陽光が716MW、水力が890MWである。さらに、風力で172MW、太陽光で103MW、合計275MW分を建設中という。