講演するロシアOJSC Rosseti社のオレグ・ブダルギン社長
講演するロシアOJSC Rosseti社のオレグ・ブダルギン社長
(出所:日経BP)
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 ロシアの送電網会社であるOJSC Rosseti社のオレグ・ブダルギン社長は9月9日、自然エネルギー財団の設立5周年記念シンポジウムで講演し、アジアスーパーグリッド構想に関して、ロシア側の姿勢などを紹介した。

 同構想は、アジア各国間で電力網を国際連系し、太陽光や風力発電の電力を融通し合うというもの(同財団の孫正義会長の講演中国国家電網の劉 振亜前会長の講演韓国電力公社の趙 煥益社長の講演)。

 ロシアのウラジオストクにおいて、9月2~3日に開催された「東方経済フォーラム」では、ウラジーミル・プーチン大統領が支援を表明したという。

 ブダルギン社長によると、プーチン大統領は、安倍晋三首相や韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が同席している中、北東アジアの国家間連系の実現を「全面的にサポートする」と演説したとしている。

 この演説に関して、複数の報道機関が、プーチン大統領がロシア、日本、韓国の間で国際間連系を進めるために、政府間の作業部会の創設を提案したと報じている。

 また、ブダルギン社長は、ロシアから日本への再生可能エネルギー電力の送電について、長距離を高効率、安定的に送配電できること、競争力のある価格での電力供給が重要になると指摘し、この2点について、ロシア企業が政府の支援を受けながら主導していく意向をうかがわせた。
 
 政府のトップによる北東アジアの国際間連系に対する支援では、プーチン大統領のほか、中国の習近平国家主席も、2015年9月にすでに表明していることを、中国・国家電網の劉 振亜前会長が講演で触れていた。韓国の朴大統領も、構想を後押しする意向を表明している。

 アジアスーパーグリッド構想の調査を進める4社(ソフトバンクグループ、中国・国家電網、韓国電力公社、ロシアOJSC Rosseti社)が本拠を置く4カ国の中で、日本を除く3カ国の政府の首脳が、その重要性を認識し、構想の推進を支持したことになる。

 政治的な課題の解決が実現に向けたカギの一つになると見られる中、日本の状況について、孫正義・自然エネルギー財団会長(ソフトバンクグループ社長)は、パネル討論において、「日本の中にも、感度が高く、バランス感覚の優れた政治家はいる。問題を解決していく中で、ある段階でコミットメントし、政治家としてリーダーシップを発揮してもらえると信じている」と、期待を示した。