英国の大手エネルギー事業者であるセントリカ(Centrica)社は9月18日、3MWの定置型蓄電池システムをイングランドのゲーツヘッド(Gateshead)で導入すると発表した。

英セントリカ社がゲーツヘッド議会向けに設置を完了した定置型蓄電池システム
英セントリカ社がゲーツヘッド議会向けに設置を完了した定置型蓄電池システム
(出所:PRNewsfoto/Centrica)
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 同蓄電池システムは6個の蓄電池ユニットで構成されており、英国の平均的な世帯3000軒の1時間分の電力量を貯蔵可能としている。

 同社の分散エネルギー・電力事業部門が、ゲーツヘッド議会から受注したプロジェクトで、今年初めに開所した「ゲーツヘッド地域エネルギー・センター」への電力の充放電や、電力網の変動に対して瞬時に対応できるよう設計されているという。ゲーツヘッド地域エネルギー・センターは、2MWの熱電併給(CHP)ユニット2基から構成されており、5000軒分の電力を供給すると同時に総距離3kmの熱供給網により暖房用などの給湯を行う。

 セントリカ社とゲーツヘッド議会は長期的な提携関係にあるという。今回の定置型蓄電池システム導入に先立ち、これまでにも町内34カ所の公共施設で2MW分の太陽光パネルを設置している。

 蓄電池システムの最低応答時間は140msで、送電網事業者であるナショナルグリッド(National Grid)社が運用する周波数調整市場に参加して、指令に応じて充放電を行ったり、電力需要のピークカットを行うだけでなく、電力網の余剰電力を充電する。

 同蓄電池システムは今年末に商用運転を開始する予定であり、稼働後は10年間の契約の下、セントリカ社がプロジェクトの管理を担う。

 ゲーツヘッド議会で環境・運輸を担当するJohn McElroy議員は、「今回導入する蓄電池システムによって、ゲーツヘッド地域の広域エネルギー計画が完成し、電力と熱を低コストでゲーツヘッド中心部の家庭や企業、団体に供給可能となる。必要に応じて電力の充放電ができ、ナショナルグリッドが運営する市場に参加することで得られる収益を議会によるサービスの拡充に充てることも可能となる」と今回のプロジェクトの意義を強調している。