システムのイメージ
システムのイメージ
(出所:NTTファシリティーズ)
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データセンターに直流で給電
データセンターに直流で給電
(出所:NTTファシリティーズ)
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太陽光の電力を直流のまま給電
太陽光の電力を直流のまま給電
(出所:NTTファシリティーズ)
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 NTTファシリティーズ(東京都港区)は、米国テキサス大学オースチン校のTACC(Texas Advanced Computing Center)にHVDC(高電圧力直流)給電システムとHVDC対応の太陽光発電システムを導入し、8月25日に実証運転開始式を開催したと発表した。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの委託によるもので、太陽光発電システムとHVDC給電システムを組み合わせることにより、従来比15%の省エネを目指す。消費電力量の増加が予想されるデータセンターの環境負荷を低減する。

 HVDC給電システムとは、外部から供給された交流電力を内部のICT機器に給電する過程で行われる、交流-直流、直流-交流の電力変換回数を減らすことで、データセンター全体の電源変換効率を向上する給電システム。電源装置からICT装置への供給は直流380Vで供給され、従来設備に比べて、配線の占有スペースの削減も期待できる。

 今回のプロジェクトでは、敷地内の駐車場の屋根などに設置した太陽光パネルからの直流電流をHVDC対応型パワーコンディショナー(PCS)で最大電力点制御(MPPT)したうえで、直流のまま直流380Vの構内系統に投入して優先的に活用する。

 こうした太陽光発電と連系したHVDC給電システムとしては、国内でも、さくらインターネットの「石狩データセンター」の例がある(関連記事)。

 NTTファシリティーズでは、これまでにNEDO「グリーンネットワーク・システム技術研究開発プロジェクト」(2008~2012年度)を通して、HVDC給電システムを実証してきた。今回のプロジェクトでは、太陽光発電と連系接続し、発電電力に応じてHVDC給電システムの整流装置の運転台数を制御することで、HVDC給電システムを最適化する。

 さらに、HVDC給電に対応したサーバーや空調設備、および照明設備を導入し、省エネ効果も検証する。

 実証システムの省エネ性能の検証にあたっては、DPPE(Data center Performance Per Energy)を用いて、既存の交流給電システムと比較することで、定量的に評価する。

 NTTファシリティーズは、今後、実証試験の結果を足掛かりに、HVDC給電システムをデータセンターにおける省エネ・ソリューションの一つとして、米国を軸に、欧州・アジアなどに展開するとしている。