HASTY-W完成イメージ図
HASTY-W完成イメージ図
(出所:5社共同ニュースリリース)
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 アチハ(大阪市)、自然電力(福岡市)、東光電気工事(東京都千代田区)、吉田組(兵庫県姫路市)、若築建設の5社は、洋上風力発電所の建設に使う自己昇降式の作業台船船団「HASTY-W」の建造について検討を進める。国内の洋上風力発電プロジェクトの知見を活用し、5社独自設計の作業船団の建造を目指す。9月7日に発表した。

 「HASTY-W」は、洋上風力発電所の主力機種となる出力5MWクラス以上の風車を外洋に設置するために必要な組立船と運搬船を組み合わせた作業台船の船団で、海底に着床する。国内には現在、こうした船を保有する企業がなく、国内の実情に適した作業台船の建造および利活用が求められている。

 組立船と運搬船の2隻体制とすることで作業効率を改善する。計画している作業台船は、5MW級の風車2基分を搭載できるスペースを持ち、1300t吊級クレーンを搭載する。船体は水深30mに対応し、エアギャップを10mとれる。定点保持システム(DPS)により、作業位置を最短30分と効率よく決定できる。昇降時間は毎分0.7m。安全性を考慮し、係船ウインチ(組立船は25t、運搬船は10t)を4基搭載する。

 2016年7月に施行された改正港湾法では、港湾区域内の水域などの長期間にわたる占有を許可する「占有公募制度」を創設したことにより、洋上風力発電の導入および普及促進が期待される。

 計画している作業台船の仕様は以下となる。組立船は、載貨重量トン数(DWT)2000t。DPS能力は1700ps級×4基。昇降能力は2200t×4基。50人分の居住設備を備える。船体の大きさは全長85m×幅40m×深さ6m、計画喫水は3m。

 運搬船はDWT1500t。DPS能力は1400ps級×4基。昇降能力は1300t×4基。船体の大きさは全長50m×幅35m×深さ5.5m、計画喫水は3.3m。