太陽光は導入目標を10年前倒しでクリア

 バイオマス発電は、FIT開始当初の未利用木質を燃料としたシステムが稼働したため、2016年度は堅調だった。2017年10月申請分から「一般木質・農作物残さ」の買取価格が21円/kWhに引き下げられることから、2017年度は認定の駆け込みが発生しており、2020年度に導入ピークを迎える見通し。「メタン発酵ガス」は、2016年度に下水処理場向けの竣工がピークを迎え、2017年度以降、当面市場は縮小する。

 水力市場は、FIT制度開始以降に計画された1000kWクラス以上の案件が運転開始するとともに、200~1000kW未満クラスや、農業用水向け200kW未満のマイクロ水力も堅調で、2016年度は1000億円を突破。2017年度に新区分1000~5000kWの買取価格27円/kWが設定されたことから、2020年頃からリパワリングを中心としたMWクラスの建設計画の顕在化が期待される。

 地熱発電は、2017年3月に出力5MW超と国内最大急の滝上バイナリー発電所が運転開始されるなど、バイナリー発電を中心に堅調な伸び予想される。2019年度は水蒸気発電プラントの運転開始が予定されており、当面のピークとなる576億円と予測される。2020年度は補助金を利用した案件が増加するとみられる。

 また、FIT開始後の再エネ発電全体の累計導入量は、計画から運転開始までの期間が短く設備投資の費用対効果の高い太陽光を中心に導入量が急増し、2017年度末の累計導入量は約6500万kW(65GW)が見込まれ、その7割は太陽光が占める。2026年度末には1億654万kW(106.54GW)まで拡大すると予測する。

 なお、経済産業省では、2030年度における再エネ導入目標を公表している。太陽光の導入目標である6400万kW(64GW)に関しては、2020年度に10年前倒しで目標を達成し、2025年度末には導入目標を上回る8000万kW(80GW)に達すると予測する。風力の目標値は1000万kW(10GW)、バイオマスの目標値は602~728万kW(6.02~7.28GW)で、いずれも2025年度末に目標の80%超が導入され、2030年度の導入目標は達成と予測する。

 水力の目標値は4847~4931万kW(48.47~49.31GW)で、2025年度末で80%超を達成するが、更新によるFIT認定が多く2030年度の目標達成は困難とみられる。地熱の目標値は140~150万kW(1.4~1.5GW)で、2025年度末で約45%と低迷し、新たな政策的支援が必要とされると指摘する。