システム概要図
システム概要図
(出所:大林組)
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 大林組は、再生可能エネルギーを利用して「CO2フリー水素」を製造する水素エネルギーシステムを構築する。ノウハウの獲得や実績の蓄積を目的としたもので、製造・貯蔵・利用の各段階を実証することで、システム全体の最適化を目指す。2018年4月中に完成する予定。

 太陽光や風力など再エネ発電の一部の電力を用いて、水電解装置で水を水素と酸素に分解してCO2フリーの水素を製造する。水素は気体の状態でタンクに貯蔵し、電力需要に応じて純水素型の燃料電池システムを稼働させて発電する。天候に左右される太陽光・風力発電からの電力供給を安定化させる。

 実証では、水電解装置と蓄電池容量の最適な組み合わせや、各設備の制御手法などを検証する。水素は、電力貯蔵の点で比較的安価に大容量化しやすく、時間経過とともに減少しにくい性質がある。大量かつ長期間、電力貯蔵する場合、蓄電池より優位との研究結果もあるという。

 また、同システムは、再エネ由来の電力を商用電力系統から切り離して水電解装置に供給するため、商用電力の停電時でも自立運転が可能となる。この特徴を生かして、災害時のBCP(事業継続計画)対応についても検証する。

 同実証は、東京都の「事業所向け再生可能エネルギー由来水素活用設備導入促進事業」に採択された。大林組では、同実証で得られたノウハウを活用して、水素関連施設のEPC(設計・調達・施工)事業に加え、再エネを活用した水素エネルギー事業への参画も視野に入れている。