武田薬品工業とアステラス製薬、第一三共は、一般向け(DTC)遺伝子検査サービスで蓄積したゲノムデータベースを活用した実証研究を、ジーンクエストと共同で開始する。ジーンクエストとヤフーが共同で提供している遺伝子検査サービス「HealthData Lab プロジェクト」の遺伝子多型データを活用し、遺伝子多型とたんぱく質の生理機能の関連を調べる。たんぱく質の生理機能を解明することで、有効な治療薬のない疾患に対する新しい治療法の開発などにつながると期待される。

 ジーンクエストによれば、ヒトの遺伝子の塩基配列には個人差があり、その結果、遺伝子が作るたんぱく質の生理機能にも個人差を生じることがある。遺伝子多型とたんぱく質の生理機能の関連については多くの先行研究があるものの、両者の関連は十分には解明されていないという。

 今回の実証研究では、HealthData Labプロジェクトで蓄積した日本人の遺伝子多型データを出発点として、特定のたんぱく質の生理機能を調べる手法を確立することを目指す。具体的には、たんぱく質の機能への影響が既に判明している特定の遺伝子多型を保有しているHealthData Labの会員からボランティアを募り、Webアンケートや臨床検査を実施してたんぱく質の生理機能を評価。この評価結果と先行研究を比較し、得られたデータの有用性について検証する。研究に当たっては、HealthData Lab会員の個人情報を製薬3社に提供しないなど、個人情報の保護に留意した運用を行うとしている。