中国のJinkoSolar Holding(ジンコソーラー)は8日、欧州連合(EU)が中国製の太陽電池や太陽光パネルに対して策定していた価格取り決め協定から脱退すると発表した。

 同協定の下では、太陽電池や太陽光パネルをEU域内で販売する中国企業はEUの定める最低輸入価格(MIP)を上回る価格で販売しなければならない。

 同協定を受け入れない企業は、反ダンピング税と反補助金税を支払う必要がある。ジンコソーラーの場合、反ダンピング税の税率は41.2%、反補助金税の税率は6.5%である。

 注意深く戦略的な考慮の結果、価格取り決め協定がEUにおける同社の事業拡大につながらないとの結論に至ったため、協定からの脱退を決定したとしている。

 ジンコソーラーのXiande Li会長は、「現状のMIPは、もはや太陽光パネルの現在の市場価格の環境を正確に反映していない。主要なEU市場で太陽光パネルの平均販売価格(ASP)は、下落を続けているからだ。MIPはそれら市場でジンコソーラーの競争力をそぎ、市場での力を阻害しているため、協定から脱退することを選択した。これにより、ジンコソーラーはより良い位置に付け、技術力やブランド力、販売力などを生かせるようになるだろう」と述べている。

 欧州の太陽光パネルに関する価格取り決め協定に関しては、昨年12月にトリナソーラーも脱退していた。また、協定に非加盟の代理店を通して太陽光パネルを販売する中国企業もあり、同協定の実効性が問われつつある。

 背景の一つには、中国の太陽光パネル大手が同協定によるMIPや追徴課税を回避するために、マレーシアやタイなど東南アジアに製造拠点をシフトしている現状がある。

 今後も、中国の太陽光パネル大手や中堅の企業が同協定から脱退する動きが続けば、EU域内の太陽光パネルメーカーを保護する同協定の枠組みが崩壊する可能性も高まりそうだ。

 EU当局が、事業の多国籍化を進める中国の太陽光パネル大手に対して今後どのように対応していくのかも注目される。