倒産数は過去最高で推移
倒産数は過去最高で推移
(出所:東京商工リサーチ)
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大型の負債の倒産は減り、小口の倒産が増えている
大型の負債の倒産は減り、小口の倒産が増えている
(出所:東京商工リサーチ)
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 調査会社の東京商工リサーチは9月7日、2017年1~8月の「太陽光関連事業者」の倒産状況を発表した。

 太陽光発電システム装置の製造、卸売、小売を手がける企業、設置工事、コンサルティング、太陽光発電による売買電事業などを手掛ける企業を、主業・従業に関わりなく対象としている。

 2012年7月に、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が施行されたことを機に、多くの企業が太陽光関連事業に参入した。その後、買取価格の段階的な引き下げに伴って市場拡大のペースが鈍化している中、事業者の乱立もあって、事業が立ち行かなくなる企業が増えている。

 2017年1~8月の太陽光関連事業者の倒産は、59件となり、前年同期比63.9%増となった。

 このままのペースで推移すると、2017年の太陽光関連事業者の倒産は、2000年の調査開始以降、年間として過去最多となった2016年の65件を上回って、過去最多を更新する可能性があるとしている。

 年間の倒産が最多となった2016年の1~8月は、36件だった。2017年は、すでにこの1.6倍となる、59件に達した。

 負債総額では、2017年1~8月は191億7400万円となり、前年同期比7.1%増となった。負債額が1億円未満の倒産が30件(構成比50.8%)と、小口の倒産が中心となっており、件数の増加ほど負債総額は増えていない。

 前年同期は、負債額が1億円未満の倒産が17件(同47.2%)で、より高額の負債の倒産が多く、2016年の負債総額が過去最大の242億4100万円に膨らむ要因となっていた。

 これまでの太陽光関連事業者の倒産は、設備への先行投資や在庫負担、積極的な人員補充などで、負債が膨らむ傾向にあった。これに対し、今年に入り、小規模に展開していたパネル設置工事や電気工事業者の倒産が目立っており、負債が小口化している要因の一つになっているという。

 ただし、同社によると、2017年は倒産件数が多いために、このままのペースで推移すると、負債額も過去最大となる可能性もあるという。

 2017年1~8月の負債額別では、「1億円以上5億円未満」が最多で、23件(構成比38.9%)だった。次いで、「1000万円以上5000万円未満」、「5000万円以上1億円未満」が、それぞれ15件(同25.4%)となった。

 同社によると、今後も当面、発電設備の販売や施工業者の経営環境は厳しい状況が続くとみられるだけに、太陽光関連事業者の倒産は高水準で推移する可能性が高いとみている。