自然エネ協議会の飯泉会長が経産省の大串政務官に提言書を渡した
自然エネ協議会の飯泉会長が経産省の大串政務官に提言書を渡した
(出所:日経BP)
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 「エネルギー基本計画の見直しでは、再生可能エネルギーの電源構成に関し、30%を超える意欲的な水準に引き上げるべき」――。経済産業省で2030年に向けた「エネルギー基本計画」の見直しが始まったことを受け、自然エネルギー協議会の飯泉嘉門会長(徳島県知事)が8月29日、経産省の大串正樹・経済産業大臣政務官に提言書を渡した。

 今回の提言では、再エネ比率の「30%超」のほか、国連の「パリ協定」を踏まえた具体的な政策手法として、「カーボンプライシング(炭素の価格付け)」を提唱した。カーボンプライシングは、炭素税や排出量取引など欧州などで導入例があり、国内でも環境省が推進の立場を鮮明にしている。

 提言書では、「カーボンプライシングにより、低炭素製品やサービスの利用が促されるとともに、その収入を再生可能エネルギーの普及に活用することで、さらにCO2を減らせる」との筋道を示した。

 「エネルギー基本計画」の見直しでは、8月9日の総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会の場で、世耕弘成・経産大臣が「今回の見直しでは、エネルギー政策の骨格を変える必要はない」とし、現在の基本計画における再エネ比率(22~24%)を含めたベストミックス(2030年の望ましい電源構成)を変えることに関し、慎重な姿勢を示している。

 こうした経産省の動きに関し、飯泉知事は、「これまで再エネ拡大に消極的だった経産省が、前回の見直しで24%まで引き上げたことを見ても、再エネ比率を引き上げていくという大きな方向性は明らか」とし、今後の展開に期待を示した。

 再エネの導入目標に関しては、再生可能エネルギー普及拡大議員連盟が6月に提言案をまとめ、「非化石電源比率44%の相当量は、再エネで賄うべき」とし、事実上、再エネ比率40%以上を視野に入れた方向性を示している。