NTTレゾナント代表取締役社長の若井昌宏氏。先進技術を駆使した新規サービスの創造に意欲を見せた。
NTTレゾナント代表取締役社長の若井昌宏氏。先進技術を駆使した新規サービスの創造に意欲を見せた。
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 NTTレゾナントは、同社が運営するQ&Aコミュニティサービス「教えて!goo」で、恋愛の悩みに人工知能(AI)が回答する相談サービスを2016年9月6日に提供開始した。今回同社が新たに開発したAI「オシエル」が、「恋愛相談」カテゴリーの質問に対し、回答者の1人として質問に答える。質問が投稿されてから数分のうちに回答できる素早さと、「人間らしい」自然な文章が特徴だ。

「オシエル」は回答者のうちの1人として回答する。人間による他の回答と同様に、ベストアンサーとして選ぶことも可能だ。
「オシエル」は回答者のうちの1人として回答する。人間による他の回答と同様に、ベストアンサーとして選ぶことも可能だ。
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 同社によれば、「教えて!goo」で質問者が最も評価する回答であるベストアンサーは、質問者への共感を示す回答が選ばれる傾向が強いという。AI「オシエル」が生成する文章は、質問者を思いやる「人間らしさ」を実現するため、基本的には質問への共感、質問に対する結論(指示)、その理由といった文単位の要素で構成する。質問者がヒントにできるような偉人の名言を引用することもある。

実際の質問に対する「オシエル」の回答例。左の例では「結論」「共感」「偉人の名言」が、右の例では「共感」「結論」「理由」の要素が見られる。
実際の質問に対する「オシエル」の回答例。左の例では「結論」「共感」「偉人の名言」が、右の例では「共感」「結論」「理由」の要素が見られる。
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 回答の文章は、「教えて!goo」で過去に寄せられた回答から質問に適した文を複数選択し、組み合わせることで生成する。選んだ回答が質問にどのくらいマッチしているかは、それぞれの文章に現れる単語の順番を学習し、文脈を理解することによって評価する。学習にはBi-LSTM(Bi-directional Long Short-term Memory)と呼ばれる時系列データを扱えるディープラーニングの技術を用いる。質問の文脈に沿った結論を提示するとともに、回答文を自然な流れにできることが特徴だという。

 共感や結論、理由などといった回答の各要素は、質問とのマッチ度合いの評価値がそれぞれしきい値を超えた場合のみ表示する。特に、しきい値を超える結論が選択できなかった場合は「オシエル」は回答しない。現在の回答成功率は5割程度だという。AIの回答や、同じ質問に寄せられた他の回答への評価をモデルにフィードバックすることで、今後の精度向上を狙う。

 同社代表取締役社長の若井昌宏氏は、「人間の回答者よりも迅速に適切な回答ができる技術には大きな価値がある」と自信を見せる。将来的には恋愛相談だけでなく、育児や旅行、介護など幅広いカテゴリーに対応していくとともに、質問者の属性や趣味嗜好といった特性に合わせたパーソナライゼーションも進めていく考えだ。