米テキサス州の電力事業者であるバンデラ電力協同組合(BEC)は9月1日、リベリアの人口6400人の無電化村であるトトタ(Totota)で、太陽光発電と定置型蓄電池を供給すると発表した。同組合が加盟する業界団体である農業電力協同組合協会(NRECA)の関連組織であるNRECA InternationalがBECを今回のプロジェクトのサプライヤーに選択した。

リベリアの首都・モンロビアから約130km東に位置するトトタの村落
リベリアの首都・モンロビアから約130km東に位置するトトタの村落
(出所:Bandera Electric Cooperative)

 トトタは、リベリアの首都・モンロビアから東に約130kmに位置し、商店や小規模な工場、学校、診療所、教会やモスク、政府の事務所などの施設があり、この地域における経済や産業の中心的な役割を担っている。

 ところが電力系統網が未整備のため、ほとんどの家庭が照明器具としてロウソクやランタン、乾電池式の照明を使用している。小型の発電機を所有・運転している施設はわずかにあるものの、ごく少数の世帯がそこから電気を買っている現状という。

 そこで今回、BECは子会社のBECソーラー社を通じて、トトタの世帯や事業者の約400軒にオフグリッド型の太陽光発電による電力を供給した。太陽光パネル220枚を設置し、出力は70kW、リチウムイオン蓄電池の容量は90kWh。バックアップ用にディーゼル発電機も設置した。

 地元の電力協同組合がこのオフグリッド電力供給システムを保有し、電力サービスの提供も行うとしている。

 NRECA Internationalは現在、無電化地域に電力を供給する「Beyond The Grid(BTG)」プロジェクトをリベリア国内の数カ所で推進している。

 同プロジェクトは、米国国際開発庁(USAID)がアフリカの無電化村に再生可能エネルギーを中心とした信頼性の高い電力を供給する「パワー・アフリカ(Power Africa)」イニシアチブの一環であり、アフリカ諸国の安定と経済開発を促進することを目的としている。

 NRECA Internationalの上席副代表を務めるDan Waddle氏は「信頼性があり安価なエネルギー・ソリューションをリベリアの電力協同組合に提供するうえで、米国の電力協同組合からの支援は、国境を越えて地域を支援する能力と意志が我々にあることを示している」とプロジェクトの意義を強調する。

 NRECA Internationalは、USAIDパートナーとしての事業を1962年から手がけている。この枠組みを通じて米国の電力協同組合は、金銭的な貢献や物資の寄付と共に、NRECAがスポンサーを務めるプロジェクトに技術者やマネージャーをボランティアとして派遣するといった人的支援などに取り組んでいるという。