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窓に向く「透明で紫外線から守る太陽電池」の新材料、東大などが発表

  • 加藤 伸一=日経BPクリーンテック研究所
  • 2016/09/01 14:16
  • 1/1ページ
ヘテロ構造の光電子分光の結果
(出所:東京大学)
[画像のクリックで拡大表示]
ヘテロ構造の時間分解光電子分光の結果
(出所:東京大学)
[画像のクリックで拡大表示]

 東京大学などは8月31日、窓などに向く、透明で、かつ、紫外線から守る太陽電池を実現できる材料の合成に成功したと発表した。

 所望する光機能に最適な金属酸化物のヘテロ構造を、オンデマンドで合成できる可能性を見出したという。東京大学(物性研究所・松田巌准教授)、高エネルギー加速器研究機構(組頭広志教授)、東京工業大学(小澤健一助教)の3者による研究の成果。

 金属酸化物は、次世代の電子デバイス材料として注目され、その代表的な材料であるチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)は、表面が特異な電子特性を示すことが知られている。しかし、これまで表面の光学応答に関する報告はほとんどなかった。今回、光学応答を任意に制御できることを明らかにした。

 レーザーによる原子レベルの精密な結晶成長技術により、SrTiO3の結晶基板上に、厚さが数原子分という、超薄膜のルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3)層を成長させて、ヘテロ構造を形成した。

 このSrRuO3の膜厚によって、光学応答を任意に制御できることがわかった。

 兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」の高輝度軟X線ビームラインで光電子分光を測定(金属や半導体に光を照射することで放出される電子のエネルギーから固体表面の電子構造を知る実験法)したところ、SrRuO3の膜厚に依存して、SrRuO3膜の電子状態が半導体から金属に変化し、それに伴ってSrTiO3基板はキャリア電子密度が高い状態から、低い状態に変わることがわかった。

 具体的には、SrRuO3の膜厚を変えると、ヘテロ界面の電子構造が劇的に変化し、それに合わせて光学応答が200倍も向上したほか、光起電力の大きさと緩和寿命が敏感に変わる。

 得られた結果を元にした数値シミュレーションにより、光学応答の変化に必要な光キャリアの量やダイナミクスを把握した。これにより、酸化物ヘテロ構造における光起電力の発生と、その制御の仕組みを定量的に説明できるようになった。

 SrTiO3は、可視光を透過して紫外線を吸収する半導体材料で、SrRuO3層も原子レベルの薄さによって可視光の透過性が高い。これらの特徴により、透明で、紫外線から守る太陽電池の材料となる可能性があるとみている。

 今回の研究成果は、ドイツの学術誌「Advanced Materials Interfaces」に現地時間9月5日に掲載予定となっている。

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