半導体メーカーのソシオネクストと東京工業大学発ベンチャーのSOINNは2016年8月31日、SoC(system on a chip)ベースのセンシング技術と人工知能技術「人工脳 SOINN(ソイン)」を活用したソリューションの事業化に向けた検証を開始したと発表した。第1弾として、ソシオネクストのモバイル生体センサー「viewphii」でセンシングした各種の生体データを人工脳 SOINNが学習。従来にない高精度な健康状態の把握や将来の健康リスク予測につながるかどうかを検証する。

 SOINNが提供する学習型汎用人工知能「人工脳 SOINN」は、独自の自律学習アルゴリズムを実装しており、大量のデータや高度なハードウエア、長時間の学習をいずれも必要としないという。今回の協業では、ソシオネクストがSoCセンシング技術を活用し、従来得られなかった重要データの抽出や、IoT(Internet of Thnigs)アプリケーションの開発、ソリューションへの実装を担う。SOINNは自律学習アルゴリズムの最適化を担当する。

協業の概要
協業の概要
[画像のクリックで拡大表示]

 最初のステップとして、ソシオネクストのviewphiiでセンシングした各種の生体データを、一般的な健康診断の結果と共に人工脳 SOINNに学習させる。これにより、健康状態の把握やリスクの予測を行う。

 viewphiiはケーブルレスのモバイル型端末で、超音波画像や連続血圧、心電などを測定しデータを統合管理できる(関連記事)。これらのデータを人工脳 SOINNが学習することで、健康状態の把握や将来の健康リスク予測をこれまでになく高い精度で、短期間かつ低コストで実現できると期待されるという。

 2016年10月末をメドに、人工脳 SOINNによる学習結果を解析し、効果の検証を完了する。この結果を踏まえ、SOINNは人工脳 SOINNのさらなる進化に向けた自律学習アルゴリズムの改良や精度向上に取り組む。ソシオネクストは今回確立する技術の事業化を進めるとともに、SoCセンシング技術を活用した製品やサービスの拡大を目指す。