米国の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は8月25日、シリコンをベースとしたタンデム型太陽電池セル(発電素子)として世界最高の変換効率とする35.9%を達成したと発表した。同研究所とスイスの研究機関である電子・マイクロテクノロジーセンター(CSEM)、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の共同研究によるもの。

 III-V族化合物半導体とシリコンの2接合セルで32.9%、3接合セルでは35.9%の変換効率を達成したとしている。研究結果の詳細は「Nature Energy」誌の最新号に掲載される。

 これまでにも化合物半導体では、シャープが2016年5月に発表した変換効率37.7%の太陽電池セルや、それに基づく同31.17%の太陽電池モジュール(太陽光パネル)といった事例がある(関連記事)。接合の数を増やせば、さらに変換効率を高めることも可能だが、III-V族化合物半導体のみを材料とする太陽電池は、コストが高いという課題があった。

 NRELのAdele Tamboli氏は、「高価なIII-V族の材料だけで構成される多接合セルにほぼ匹敵する変換効率を、シリコンをベースとしたタンデム型セルで初めて実現できた意味は大きい」と強調する(図)。

NRELの研究者でシリコン・ベースの多接合太陽電池セルに関する論文の著者の1人であるAdele Tamboli氏
NRELの研究者でシリコン・ベースの多接合太陽電池セルに関する論文の著者の1人であるAdele Tamboli氏
(出所:NREL/Dennis Schroeder)