「ソーラー雪氷コンテナ」試作機
「ソーラー雪氷コンテナ」試作機
(出所:五島冷熱)
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 五島冷熱(札幌市)は、太陽光発電と貯雪・貯氷室を活用することで、外部電源ゼロで生鮮食品などを保管できる冷蔵コンテナ「ソーラー雪氷コンテナ」を開発した。2018年度から流通事業者など向けに販売開始する予定。

 日中はコンテナの屋根に設置した太陽光パネルで発電した電力を用いて冷却器を運転し、夜間や悪天候の時は貯雪・貯氷槽に入れた雪氷から出る冷気をチルド室に流す仕組み。チルド室の容積は約16m3で、ジャガイモやタマネギなどの野菜を入れるケースが約200個入る。室温は0~5℃まで調節可能。

 太陽光パネルは両面発電タイプを採用した。合計出力は1.8kW(300W/枚×6枚)。発電した電力はMPPT(最大電力点追従制御)機能付きのコントローラーを介して直流のまま蓄電池に充電する。パワーコンディショナー(PCS)で蓄電池からの放電する直流を交流100Vに変換した上で冷却システム(冷凍機および冷却器)を運転する。蓄電池の容量は13kWh。冷却システムは空冷一体型(パナソニック製)で一般的なコンプレッサータイプ。

 貯雪・貯氷槽は天然雪を約5.4t貯蔵可能で、4月ごろに貯めておくと太陽光発電で冷却しながら通年で使用できる。今後、雪氷の代わりに水の入ったペットボトルなどを凍らせて使うことで、雪の少ない寒冷地でも使えるようにする予定。

 太陽光発電システムを手掛けるトミタ(札幌市)と共同開発した。販売価格は約300万円を予定する。一般的なコンテナより高価になるが、電気料金ゼロで運用できるため5年程度で初期投資を回収できるという。将来的には、ロシアや中国、モンゴルなどの国外へ製造ライセンスを販売することも検討する。