「新ひだかソーラーパーク」の完成予想図
「新ひだかソーラーパーク」の完成予想図
(出所:スマートソーラー)
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 メガソーラー(大規模太陽光発電所)の開発などを手掛けるスマートソーラー(東京都中央区)は8月19日、北海道新ひだか町に出力17MWのメガソーラーを建設し、容量9MWhの定置型蓄電池を併設すると発表した。同日に建設を開始した。2017年11月に完成予定。

 事業主は、特定目的会社(SPC)である合同会社SSひだかの森で、発電所名は「新ひだかソーラーパーク」。ゴルフ場の跡地を活用し、中国トリナ・ソーラー製の太陽光パネルを設置した。太陽光パネルの設置容量は21MW、連系容量17MWとなる。

 スマートソーラーでは、もとの地形を生かしたままパネルを設置するため、3次元の傾斜に対応できる新型の架台「スマート アレイ2X」を開発したという。

 蓄電池は、韓国サムスンSDI製Liイオン蓄電池を採用する。蓄電池を併設した目的は、メガソーラーの急峻な短周期の出力変動を平滑化して、連系する北海道電力の系統に与える負荷を抑えるため。

 北海道電力は、接続申し込みが40万kWを超えた分の大型太陽光発電設備については、連系の条件として、蓄電池を併設して、急峻な出力変動を緩和することを求めている。相対的に系統規模が小さく、系統周波数への影響が大きいことが理由だ。具体的には、メガソーラー出力の変動幅を、蓄電池の充放電制御と連携した合成出力で、1分間にパワーコンディショナー(PCS)定格出力の1%以内に収めるという指標を示している。

 「新ひだかソーラーパーク」は、買取価格40円/kWhの案件だが、接続申し込みの順番が40万kWを超えたため、連系には、短周期の出力変動を緩和するための蓄電池システムの導入が求められた。スマートソーラーは、EPC(設計・調達・施工)サービスを担当した関電工と協業して、こうした蓄電池の制御システムを開発したという。

 加えて、将来的には、北海道電力から出力制御を要請された場合、出力抑制の時間帯に充電しておくなど、長周期での出力の平準化に活用することも視野に入れている。

 太陽光パネルと蓄電池のPCSには、スイス・ABB製を採用する予定。

 なお、蓄電池付き太陽光発電所には「再生可能エネルギー接続保留緊急対応補助金 (平成26年度補正予算)」が交付される。今回のプロジェクトも同補助金制度を活用した。

 スマートソーラーは、全国に14カ所、合計27MWのメガソーラーの開発を手掛けてきた。加えて、北海道の「新ひだかソーラーパーク」と紋別の案件を含め、全国14カ所で合計出力150MWの太陽光発電所の開発・建設を進めているという。

 同社では、「今後は、分 散型・蓄電式太陽光発電システムを核としたスマートシティ社会へ方向に進む」とみて、蓄電池の運用技術を蓄積していく考え。