資金調達から取引契約、決済まで
Solar Bankers 社は、ShellPay社が開発したブロックチェーン・プラットフォームを採用し、電力取引は「スマート契約」で管理されるようになり、大規模で集中管理的な電力事業者は今後衰退していくと見ている。
エネルギー取引ネットワークでは、Solar Bankers社による独自の暗号(仮想)通貨「SunCoin(サンコイン)」が決済手段として利用されるとする。
エネルギー取引の追跡や管理を行うためのソフトウエアやスマートメーターの開発資金を賄うため、両社はブロックチェーンに基づくクラウドファンディングも活用するという。
マイクログリッドの開発は、当面中国で進める計画である。
新興国では、大規模で中央集中型の電力インフラを整備するにはコスト面で難しいケースが多いが、ブロックチェーン技術を使えば低コストに電力インフラを構築できるメリットがあるとしている(図2)。
分散型の再エネ資源やマイクログリッドでブロックチェーン技術を活用する取り組みは、近年さまざまな地域や企業が始めており、急速な広がりを見せている(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3)。
しかし、ブロックチェーンに基づくエネルギー取引の仕組みは、「創造的破壊型のイノベーション」であり、普及がなかなか進まない恐れもある。先進国などでは既存の電力インフラや事業者が存在するため、いわゆる「イノベーションのジレンマ」が起こるためだ。
一方で、中央集中型の電力インフラや仕組みが整備されていない新興国などでは、逆にそういった問題がない。このため、先進国より早く新興国で新しい電力取引の仕組みやビジネスモデルが普及する可能性があり、Solar Bankersなどの取り組みは今後も増えそうだ。