Intel社の新Xeon「Intel Xeon Scalable Processor」のウエハーの拡大写真
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Intel社 Data Center Group(DCG)担当 Executive Vice President &General ManagerであるNavin Shenoy氏
Intel社 Data Center Group(DCG)担当 Executive Vice President &General ManagerであるNavin Shenoy氏
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 Intel社は2017年7月11日に、データセンター向けマイクロプロセッサー「Intel Xeon Scalable Processor」を発表した(関連記事)。Intel社 Data Center Group(DCG)担当 Executive Vice President &General ManagerであるNavin Shenoy氏へのインタビュー前編「AIの推論では汎用プロセッサーが主役」では、台頭するアクセラレーターと汎用プロセッサーであるXeonとの関係を聞いた。後編では、この新Xeonで、具体的にどのように性能を高めたのか、また、10nm世代またはそれ以降のプロセス技術はいつ適用するのかを聞いた。(聞き手は野澤哲生)

――新しいXeonでは、コア間インターコネクトのトポロジーをそれまでのリング型からメッシュ型に変えた。これはなぜか。

Shenoy氏 将来の処理負荷増大に備えて、規模拡張性の高さを重視したからだ。我々はこれまでもマイクロプロセッサー上のCPUコアの数を大きく増やしてきた。データセンター用マイクロプロセッサーにとって重要なことは、演算能力、メモリー、帯域幅、入出力インターフェースらの間でバランスが取れていることだ。今回インターコネクトのトポロジーにメッシュ構造を採用したことで、演算能力、キッシュ、CPUコア間接続、メモリー帯域の間で非常にバランスがとりやすくなった。そしてその結果、今回は最大28CPUコアまでコア数を増やすことができた。データの移動が大幅に効率的になったからだ。

――それならもっと早くメッシュ型にすればよかったのでは?

Shenoy氏 そこは我々のプロセッサー技術者に言わせると、「コア数が少ない場合はリング型トポロジーが良かった。しかし、コア数をさらに増やすなら、より粒度の高いアプローチが必要になる」という。粒度が高いとは、さまざまなコア間で大容量データを継ぎ目なくやりとりできるようにすることだ。非常に新しく、革新的な手法だが、実際の用途でも非常に高い動作性能が得られると考えている。既にいくつか性能のベンチマークは紹介しているが、これから時間が経つほど、さまざまな用途で高い性能が証明されていくだろう。今後、メッシュ型は高性能マイクロプロセッサーの主役になっていくはずだ。

――以前の取材で富士通や東京大学の研究者は、マルチコア化は最大16コアが最適で、それ以上ではかえって性能が低下すると言っていた。今回28コアにできたのは、メッシュ型を採用したからと考えてよいか。

Shenoy氏 そうだ。メッシュ型のトポロジーでは、16コアという制限はなく、もっと増やせると考えている。既に新Xeonには米Google社、米Amazon.com社、米Thomson Reuters社、米Montefiore Healthcare社など多くのユーザーがいる。そして28コア品を利用しているユーザーもいる。実際、コア数が増えるほど演算処理の規模も拡大している。もちろん、コア数だけが問題というわけではなく、各CPUコアの性能も重要になる。我々はトータルとしての処理性能、省エネルギー性能、そして所有コスト(cost of ownership)を重視している。これまで、これら3つすべてを同時に最適化するために多くの努力を払ってきた。そしてその中で得られた教訓が最初に述べたバランスを取ることで、それがIntel社の製品の強みになっている。