パワー・ツー・ガス(P2G)の付加価値
パワー・ツー・ガス(P2G)の付加価値
(出所:経済産業省・CO2フリー水素WG資料)
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国内の電源別グリーン電力証書認証量の推移
国内の電源別グリーン電力証書認証量の推移
(出所:経済産業省・CO2フリー水素WG資料)
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 経済産業省・資源エネルギー庁は8月9日、CO2フリー水素ワーキンググループ(WG)の第3回会合を開催し、CO2排出ゼロの環境価値を市場で取引するグリーン電力証書制度をより活発化することの重要性が強調された。

 同WGでは、太陽光と風力発電の大量普及を見据え、余剰電力を水素に変換する「パワー・ツー・ガス(P2G)」の普及に向け議論している。

 第2回までの検討で、P2Gの付加価値として、上流側(送配電事業者)にとっての出力変動型再エネ(太陽光・風力)の出力安定、アンシラリーサービス(周波数安定化サービス)、下流側(電力需要家)の利点として、燃料電池自動車(FCV)や家庭用燃料電池での利用、エネルギー貯蔵、産業ガス利用などがあると整理され、コスト的にブレークスルーを達成できれば、普及が期待できるとの見方が示された。

 第3回会合では、下流側でのP2Gの制度面での普及対策として、グリーン電力証書取引の活発なドイツの例が示された。ドイツでは、固定価格買取制度(FIT)外の電力を送配電網から調達するとともに、グリーン電力証書(発電源証明)を市場から購入することでCO2フリーの電力販売メニューを提供している。

 P2Gを再エネのエネルギー貯蔵システムとして活用した場合、FIT適用外になるためCO2フリーの環境価値を生み出せる。その供給に際し、自営線や託送を利用するよりも、環境価値を分離して取引した方が、全体としてコストの下る可能性が示された。

 日本ではFIT制度が始まって以降、グリーン電力証書の取引が漸減傾向にある。その活性化策として、税控除や還付など金銭的な支援の他、証書そのものの認知度やブランド力の向上などの方策が示された。