新エネルギー用PCS市場規模推移と予測
新エネルギー用PCS市場規模推移と予測
(出所:矢野経済研究所)
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 矢野経済研究所は8月2日、2016年度の新エネルギー(再生可能エネルギー)用パワーコンディショナー(PCS)市場規模(メーカー出荷金額ベース)は2015年度比28.3%減の1284億6500万円との調査結果を発表した。市場規模は縮小に転じており、2017年度は同0.8%減の1273億9000万円となる見通し。

 2016年度の同市場は、出荷数量の減少に加えて低価格化が進行したことで、10kW未満、10~100kW未満、100kW以上のいずれの出力帯もマイナス成長だった。特に、高圧や特別高圧連系向け100kW以上の大型PCSは、買取価格の低下による低価格化ニーズが強まり、10~100kW未満の中型PCSによる多数台連系に代替する傾向が進む見通し。

 これまで同市場は、固定価格買取制度(FIT)に依存してきた。今年4月の改正FIT法の施行により、これまで拡大を牽引してきた産業向け太陽光発電システムの需要が減少し、2018年度以降もその傾向が続く見込み。2020年度には630億円と予測する。

 生産規模に勝る海外メーカーは価格競争力が高く、国内メーカーは苦戦を強いられ、FIT需要の代わりとなる需要開拓の必要性に迫られる見込み。その結果、産業向けの自家消費用の需要開拓や蓄電池向け、太陽光以外の再エネ発電向けの提案が増加する。住宅用もPCS単体からHEMS(住宅エネルギー管理システム)と融合したV2H(Vehicle to Home)やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に発展すると予測する。