アンカーレス陸屋根架台(左)、大波スレート用架台(右)
アンカーレス陸屋根架台(左)、大波スレート用架台(右)
(出所:ハンファQセルズジャパン)
[画像のクリックで拡大表示]

 太陽光パネルメーカーのハンファQセルズの日本法人である、ハンファQセルズジャパン(東京都港区)は8月17日、ビルや工場などの屋上用太陽光発電システム向けに、新たな架台を発表した。

 出力50kW未満の低圧連系案件を対象とする。標準の架台として、新たに2種類の架台を追加した。いずれも、15年間のシステム保証(無償)付きとなる。短時間・低コストで施工できるもので、従来は工事期間や費用の面で条件が合わず、太陽光発電システムの導入をあきらめていた建物の屋上の場合でも、対応できる可能性を高めたとしている。

 一つは、屋根に穴を開けない「アンカーレス陸屋根架台」である。鉄筋コンクリート造(RC造)の屋上に、穴を開けずに太陽光パネルを設置する需要に対応した。日本フォームサービス製を採用した。

 防水層を傷つけずに太陽光パネルを設置できることから、雨漏りの恐れを軽減できる。コンクリートの基礎工事が不要で、かつ、軽量なため、強度の面から設置できないことがあった軽量気泡コンクリート(ALC)製の屋根材にも対応可能としている。

 もう一つは、薄い板状の材料を使ったスレート屋根への負荷を減らす「大波スレート用架台」である。スレート屋根に直接荷重が伝わらない金具を使い、屋根材への負荷を軽減した。若井産業(大阪府東大阪市)製を採用した。

 工場や倉庫などの屋上は、太陽光発電に向く半面、屋根材として使われている波型のスレートの経年劣化が原因となり、太陽光発電の導入を見送る場合が多いという。この障壁を回避できる。

 さらに、導入済みの低圧連系用太陽光発電システムのストリング(太陽光パネルの直列・並列接続単位)の構成枚数を増やし、より事業性の高いシステムに変えやすい仕組みを導入した。

 同社は、2016年に入り、低圧連系用に関して、単相5.5kW・4回路のパワーコンディショナー(PCS)で構成した発電システムの保証対象とするストリングの基準を変え、これまでの24枚(6直列・4並列)から、32枚(8直列・4並列)とした。

 すでに導入済みの太陽光発電システムでも、この基準の変更により、積載率154%までシステム保証の対象となった。これによって、ストリングの構成を変えて太陽光パネルを積み増し、収益性をより向上しようとする発電事業者が増えていた。この要望には、個別に設計し、対応してきた。

 そこで今回、「同一のPCSに、同一出力のハンファQセルズ製パネルが設置されている」、「特定のPCSでシステムが構成されていること」、「PCS1台に入力しているパネルが32枚未満」という条件を満たしている低圧連系用の発電システムは、すべてこの増設を可能にした。