新型遊覧船「男体」の外観
新型遊覧船「男体」の外観
(出所:慧通信技術工業)
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搭載されたCIS化合物型太陽光パネル
搭載されたCIS化合物型太陽光パネル
(出所:慧通信技術工業)
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客席に設置したコンセント
客席に設置したコンセント
(出所:慧通信技術工業)
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 栃木県の日光・中禅寺湖に太陽光発電を主電源としたオフグリッド電力システムを搭載した新型遊覧船「男体」が8月10日就航した。船内に設置される52カ所のコンセントと客室内LED照明、Wi-Fiサービスの電源をすべてオフグリッド電力で供給でき、停泊中ゼロ・エミッション(CO2排出量ゼロ)を実現した。

 太陽光発電を利用した船用電力システムは、既に一部の船舶に採用されているが、発電量が天候に左右されるため、安定的な電力供給に課題があった。一方、従来のディーゼル発電機は、スマートフォンなどの充電電源として安定した電力を供給することに課題があり、ACアダプターの損傷や電源不安定による電気機器の故障を引き起こす恐れがあった。

 新型遊覧船では、船用電力システムに慧通信技術工業(神戸市)のオフグリッド電力システム「Personal Energy(パーソナルエナジー)」を搭載した。合計4.2kWのCIS化合物型太陽光パネル(175W/枚・24枚)と、オリビン酸リン酸鉄Liイオン蓄電池を組み合わせた。蓄電池の最大交流出力は3kW、最大直流入力は4kW、容量は2.4kWh。

 データセンターなどで使用される通信用インバーターを採用し、常時安定した電圧、周波数の交流を供給できるという。曇天や雨天などの悪天候時に太陽光発電からの電量が不足する場合、船内発電機からの電力をオフグリッド電力システムで整流して供給する。

 このほかにも新型遊覧船では、主機関エンジンのCO2排出量を従来エンジンと比べて50~60%に低減した。出力は245kW×2基。定員は400人(うち客席312席、特別展望室)。全長24m×幅員8.8m。