海田地区バイオマス混焼発電事業の実施区域
海田地区バイオマス混焼発電事業の実施区域
(出所:中国電力)
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 広島ガスと中国電力は7月28日,広島県海田町の広島ガス海田基地内におけるバイオマス混焼の石炭火力発電所について合弁契約書を締結したと発表した。今後、両社で新会社を設立し、2018年度に建設工事を開始、2020年度の営業運転開始を目指す。

 同発電所の定格出力は約100MW(送電端)で、石炭および、バイオマス、天然ガス(助燃・バックアップ用)を混焼する。広島県内の林地残木などの未利用材や、海外の木質系バイオマスなどのさまざまな未利用資源を積極的に活用する。バイオマスの目標混焼比率は45%。

 2015年3月から事業可能性における環境影響評価(アセスメント)の手続きに着手し、準備書および説明会を経て、2016年12月に環境影響評価書を取りまとめた。同書によると、従来より発電効率の高い最新鋭の循環流動層ボイラーを採用し、木質系バイオマスを可能な限り高い比率で混焼することで二酸化炭素排出量を0.458kg-CO2/kWhとした。

 硫黄酸化物(SOx)対策に炉内への石灰石の吹き込みによる乾式炉内脱硫方式、窒素酸化物(NOx)対策に尿素注入による無触媒脱硝方式、集じん装置に燃料種の影響をほとんど受けず集じん効率の高いバグフィルターを採用する。また、プラント排水は排水処理装置で処理・管理し、大気や周辺海域の水質に及ぼす影響を抑えるという。

 建設工事では、ボイラーなどの大型機器は可能な限り工場で組み立て後、海上輸送することで工事関係車両台数を低減する。通勤時間帯など車両が集中する時間帯の工事用資材などの搬出入は、可能な限り避け、他の時間帯も事前調整を行い、騒音や振動が周辺の生活環境に及ぼす影響を少なくする。

 このほかにも、動植物は重要な種として鳥類、両生類、昆虫類の各1種を確認。工事関係者の工事区域外への不要な立ち入りを防止するなど、環境保全措置を周知徹底する。発電設備のレイアウトや色彩は、近隣住宅地や周辺景観との調和を配慮した。発電所工事および運転に伴い発生する廃棄物や副産物は、可能な限り有効利用し、有効利用できないものは法令に基づき適切に処理するなどとしている。

 新会社は2019年10月に設立し、設立時資本は2億円の予定。出資比率は広島ガスが50%、中国電力が50%。石炭・バイオマス混焼発電所の建設、運転、保守および電力の販売を手掛ける。