経済産業省は8月9日、総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会を開催し、「エネルギー基本計画」の見直しに関する議論を始めた。「エネルギー基本計画」は3年ごとに見直すことになっており、前回は2014年に改訂され、今年が見直しの年になっている。

 経産省は、2014年の改訂を受け、2015年に長期エネルギー需給見通し小委員会の場で、「2030年のあるべき電源構成(ベストミックス)」を議論し、「再生可能エネルギーの比率22~24%」「原子力の比率22~20%」などの目標値を決めた経緯がある。

 前回の見直し後、固定価格買取制度(FIT)の進展によって、再生可能エネルギーの電源比率は15%(2016年度の推定)と順調に高まっている一方、原発の再稼働が進まないことから、「再エネの目標比率を30%まで高め、さらに推進策を強化して欲しい」(指定都市 自然エネルギー協議会・会長の門川大作京都市長)との要望も出ていた。

 ただ、9日の分科会では、議論の冒頭で世耕弘成・経産大臣が「今回の見直しでは、エネルギー政策の骨格を変える必要はない」との基本的な方向性を示した。経産省の事務局も、「2030年のベストミックス比率を変えるというより、まずはその達成に向けた課題を整理して、克服に向けた施策を議論していきたい」との姿勢を繰り返した。

 事務局の作成した資料では、再エネに関して、「FITから自立して主力電源に」との位置づけを示しつつ、高コスト構造とインフラ整備が課題とした。具体的には、「高コストの是正」「産業強化」「調整力の確保」「送電網の確保」の4点に整理した。

エネルギー源ごとに課題を整理した
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エネルギー源ごとに課題を整理した
(出所:総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 資料)