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大阪市大、人工光合成の新酵素、CO2をギ酸に高効率に変換

  • 工藤宗介=技術ライター
  • 2017/08/11 19:47
光還元反応によるギ酸生成速度の違い。DAVが従来の人工補酵素MVの2倍の効率を示した
(出所:大阪市立大学)
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 大阪市立大学は7月28日、ビオローゲンの化学構造にアミノ基(-NH2)を2つ導入した新たな人工補酵素を用いることで、二酸化炭素(CO2)のギ酸への光還元反応を効率化することに成功したと発表した。太陽光エネルギーを用いて二酸化炭素を有機分子に変換する人工光合成系実現のための触媒設計・開発に大きく寄与するとしている。

 研究グループは、これまでにビオローゲンの化学構造にアミノ基(-NH2)を2つ導入した新たな分子(DAV)を合成。このDAVを人工補酵素に用いることで、「ギ酸脱水素酵素」の活性を、天然の補酵素を用いた場合より560倍向上させることに成功している。

 「ギ酸脱水素酵素」とは、二酸化炭素をギ酸に変換する反応を促進させる触媒。ギ酸は、燃料や化成品、エネルギー貯蔵媒体として利用できる。

 今回、この人工補酵素を色素分子(水溶性ポルフィリン)とギ酸脱水素酵素とで構成される二酸化炭素をギ酸に変換する光レドックス系に利用した結果、1時間の可視光照射によるギ酸生成速度が、従来用いられていた人工補酵素メチルビオローゲン(MV)の最大2倍に向上した。この数値は、これまで報告されている結果の中で最高値という。

 人工光合成系を創製するための重要な要素技術のひとつに、有効な触媒の開発が挙げられる。研究グループは現在、さらなるギ酸生成効率向上を目指し、反応条件などの検討を進めている。今回の研究成果は、英国の化学会誌「Sustainable Energy & Fuels」に7月25日(現地時間)掲載された。