家具・雑貨量販店を世界的に展開するイケア(IKEA)の英国法人(英国イケア)は8月2日、英Solarcentury社と提携し住宅用太陽光発電システムと定置型蓄電池の販売を開始すると発表した。

 太陽光発電システムと定置型蓄電池をセットで購入する場合の最低価格は6925ポンド(約99万円)、定置型蓄電池だけを購入する場合5000ポンド(約71万円)からとしている。

 蓄電池は韓国LG化学製で、最小構成の容量は3.3kWh。6.5kWhの蓄電池を含むシステム全体の価格は、8750ポンド(約125万円)である。太陽光パネルの詳細は非公表だが、Solarcentury社がEPC(設計・調達・施工)サービスを担当するとみられる。

 イケアによると、英国で太陽光パネルを設置している平均的な住宅では発電した電力の約40%を消費し、残りの60%をNational Grid社の電力網に逆潮流させている。この場合、英国では買取価格が低く電力料金が比較的割高であるため、太陽光パネルの所有者は経済的メリットを得られていないという。

 太陽光発電システムに蓄電池を追加することで、太陽光の余剰電力を逆潮流しないで貯めておき、後で使用するように運用すれば、住宅で消費する電力量を最大で80%と倍増させることとなり、電気料金を最大70%節約できるとの試算を示している。

 英国イケアとの提携を同日に発表したSolarcenturyで住宅用太陽光事業を担当するSusannah Woodマネージング・ディレクターは、「定置型蓄電池は家庭用エネルギー市場に大きな変革をもたらす。太陽光発電の導入コストは、この数年で大幅に下落しており、35年前と比較すると100倍安くなっている。今回イケアと提携して提供する住宅用の太陽光発電システムは、市場で最も競争力があるパッケージだと考えている」と自信を示す。

 イケアはこれまで世界各国の店舗などで太陽光発電を積極的に導入してきた(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3)。今回Solarcenturyとの提携によって、住宅用太陽光発電システムと蓄電池の市場に参入したことになる。

 Solarcentury社はこれまで産業用セグメントでのメガソーラー(大規模太陽光発電所)開発などを事業の中心としていた。同社が拠点とする英国に加えて、アフリカや中南米などで多くのメガソーラーやマイクログリッドのプロジェクトを手がけてきた実績がある(関連記事4)(関連記事5)(関連記事6)。一方、住宅用の市場への本格的な参入は、今回が初めてとなる。

 家具などで高いブランド力や販売力を持つイケアと産業用太陽光の分野で技術や豊富な実績のあるSolarcentury社が連繋することで、競争が激化してきた住宅用太陽光の市場でシェアを拡大できるかどうかに注目が集まっている。