市庁舎前に設置した水素ステーション
市庁舎前に設置した水素ステーション
(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
市庁舎に設置した太陽光発電システム
市庁舎に設置した太陽光発電システム
(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 三重県鈴鹿市が、太陽光発電システムと水素製造装置を組み合わせた水素供給システムを構築し、燃料電池自動車(FCV)の燃料として活用し始めた。

 市庁舎西側ロータリーに公用車用の水素ステーションを建設した。5月末に開所式を行い、本格的な運用を始めた。総事業費は約1億6500万円で、うち約1億1800万円を環境省の地域再エネ水素ステーション導入事業として補助金を受けた。

 設置した水素ステーションは、ホンダと岩谷産業が共同開発した「パッケージ型スマート水素ステーション(SHS)」。同ステーションは、高圧水電解システムを採用したのが特徴で、圧縮機を使わずに高圧水素を貯められる。製造能力1.5kg/日、常用圧力35MPaで、約19kgの水素を貯蔵できる。

 同市庁舎では、2006年10月に約30kWの太陽光発電システムを屋根上に設置しており、全量を市庁舎内で自家消費している。日中、晴天であれば、庁舎内の構内系統を通じて、水素製造のための電力の一部に太陽光発電の電力が活用されることになる。

 同市では、2016年10月にホンダ製のFCV「クラリティ」を公用車として導入した。月額11万5000円のリース方式を採用した。同車は、SHSが1日に製造できる1.5kgの水素で約150km走行できる。

 鈴鹿市は2016年2月に「鈴鹿市水素社会ロードマップ」を策定し、2020年に市内のFCV普及台数を210台、水素ステーション2基、2030年にそれぞれ4900台、8基との目標を掲げている。今回、市庁舎に設置した水素ステーションは、市の公用車専用の施設となる。市では、市内2基目は、民間設置による商用のステーションを想定しているという。