図1 ユニファの土岐社長
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図1 ユニファの土岐社長

 「我々が頑張っても5年くらいかかることを、1年で実現できた」。IoTを用いた保育園の支援事業を手掛けるユニファ 代表取締役 社長の土岐泰之氏は、世界規模のベンチャー企業のコンテスト「Startup World Cup」で初代の優勝者となった後の経緯をこう表現した(図1、関連記事)。2017年8月8日、シリコンバレーのベンチャーキャピタルFenox Venture Capitalが開催した、第2回Startup World Cupの説明会での発言だ。

 ユニファが強調したのは、Startup World Cupでの優勝により知名度や信用が世界的に高まったことである。その結果 、出資や協業の申し入れが殺到し、「問い合わせを含めれば100件を超えた。ドミニカ共和国やアラブ首長国連邦からもメールが来たりした」(土岐氏)。人材募集では応募件数が約5倍に増え、約1億円のリース契約もまとまった。資金調達の交渉も進み、2017年9月には他社との業務・資本提携を発表予定である。海外進出についても既にシンガポール、フランス、米国で市場調査を始めたといい、2017年12月ごろをメドに方向性を決めたいとする(図2)。

図2 ユニファの世界展開計画
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図2 ユニファの世界展開計画

 第2回に当たる「Startup World Cup 2018」に参加する日本のベンチャー企業も、同様に世界進出への足がかりを得られそうだ。1回目のユニファの勝利で「日本にも優れたスタートアップ企業があることに驚きの声も上がった」(Fenox社CEOのAnis Uzzaman氏)ほど、日本のベンチャー企業は世界では影が薄い。それでも優勝できたのは、事業や技術の水準は高く、それを的確に伝えられれば、審査員を務めるシリコンバレーの著名投資家にも十分評価されるからだろう。

 ただし、勝利へのハードルは前回以上に高まる。発表された概要によれば、前回は12カ国15地域だった予選を、今回は20カ国以上の30地域に倍増。日本以外では、ブラジル、南アフリカ、インドネシア、イタリア、スペイン、ドイツ、チェコ、ドバイ、北アイルランド、台湾、オーストラリア、中国、韓国、インド、米国(3か所)、ルクセンブルク、英国、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイルランド、デンマーク、バングラデシュ、フィリピン、エジプト、マレーシア、コロンビアで予選が開かれる。実際には60を超える国から問い合わせを受けたが、前回の4倍の規模への拡大は難しいと判断し、300社以上のベンチャー企業の申し込みを見込めるかなどの基準を設けて、開催場所を絞り込んだという。