太陽光関連事業者の倒産の年次推移
太陽光関連事業者の倒産の年次推移
(出所:東京商工リサーチ)
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倒産した太陽光関連事業者の負債額
倒産した太陽光関連事業者の負債額
(出所:東京商工リサーチ)
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 調査会社の東京商工リサーチは8月2日、2016年上期(1~6月)の「太陽光関連事業者」の倒産が、前年同期比24.0%増の31件となったと発表した。2000年以降の上期では最多となった。

 年間ベースでも、すでに2013年、2014年の各28件を抜いており、過去最高だった2015年の54件に次ぎ、過去2番目となっている。

 調査の対象は、太陽光発電システム関連の製造、卸売、小売を手がける企業のほか、設置工事、コンサルティング、太陽光発電電力の売電事業者などである。

 買取価格の段階的な引き下げや、関連事業者の乱立による競争激化を背景に、事業が立ち行かなくなるケースが相次いでいるとしている。

 2016年上期の倒産企業の負債総額は176億3200万円(前年同期比18.6%増)となった。年間ベースの最多記録は2015年の213億5500万円で、このまま推移すると、同年を上回り、過去最高額となる可能性もあると見ている。

 負債額別では、1億円以上5億円未満が最多で14件(構成比45.1%)となった。次いで、1000万円以上5000万円未満が7件(同22.5%)、5000万円以上1億円未満が6件(同19.3%)と続く。

 太陽光関連事業者の倒産は、設備などへの先行投資があるため、全業種の平均よりも負債規模が大型化する傾向にあるという。

 2016年上期の負債額は、日本ロジテック協同組合(東京都中央区)だけで約120億円となり、これが全体を押し上げ、総額176億3200万円に膨らんだ。

 倒産の原因をみると、「販売不振」が最も多く16件(構成比51.6%)で半数を占め、次いで、「事業上の失敗」が7件(同22.5%)、「運転資金の欠乏」と「既往のシワ寄せ」が各2件(同6.4%)と続いた。

 「事業上の失敗」が全業種平均(同4.9%)よりも高水準となった。この理由として、注目市場として規模拡大が見込まれる中、一部の企業が実現性を欠いた安易な事業計画で参入した結果、業績の見込み違いから倒産する場合が多いと分析している。

 2016年上期の主な倒産事例として、4社・組合を挙げた。

 光学測定器の輸入卸であるオプトリサーチ(東京都杉並区:負債総額約1億円)は、官公庁の予算縮減や民間の設備投資の抑制などから債務超過に陥り、その後、太陽電池評価装置の販売にシフトしたが奏功せず、2016年1月に東京地裁から破産開始決定を受けた。

 太陽光発電システムやオール電化製品、スマートハウスの販売やコンサルティングなどを手掛けるエネオンアライアンス(沖縄県那覇市:負債総額約1億円)は、2014年後半に沖縄本土の系統が接続可能量に達した際、連系手続の中断が発表されたことで、受注が大幅に減少して資金繰りが悪化し、2016年2月に那覇地裁から破産開始決定を受けた。

 共同流通センターを運営していた日本ロジテック協同組合は、電力小売事業に参入して売上高が急増したものの、自前の発電所を持たず、電力会社や自治体などから太陽光発電を含む余剰電力を購入し、安価に再販売する形態のため利幅が薄く、電力需給の逼迫によるインバランス・ペナルティーもあって資金繰りが悪化。2016年4月に東京地裁から破産開始決定を受けた。

 リフォーム工事を手掛ける東海住宅サービス(愛知県名古屋市:負債総額4億3800万円)は、2013年頃から太陽光発電システムの卸売・施工に進出し、売上高の約7割を占めるまでになった。しかし、人件費負担の増加や同業間の競合で採算が悪化し、債務超過に陥っていた。2016年4月に、名古屋地裁より破産開始決定を受けた。