パナソニックは、OHラジカル生成量を同社従来品に比べて10倍に増やした「ナノイー」発生装置、「ナノイーX」デハイスを開発した(プレスリリース1)。山形大学工学部電気電子工学科教授の東山禎夫氏と共同開発した。アレルギー症状の原因となる花粉やダニ・昆虫由来の物質などの無力化・抑制に効果があると確認した。また、脱臭についても効果があることを確認している。なお、同社では家庭用の加湿空気清浄機「F-VXM90」(2016年9月15日発売予定)に同デバイスを搭載する(プレスリリース2)。

「ナノイーX」デバイスの外観と「ナノイー」発生の仕組み(プレスリリースより)。今回の製品については、2008年に開発をスタートしたという。
「ナノイーX」デバイスの外観と「ナノイー」発生の仕組み(プレスリリースより)。今回の製品については、2008年に開発をスタートしたという。
[画像のクリックで拡大表示]

 同社によれば、「ナノイー」はOHラジカルを含む直径5~20nmの水の微粒子。例えば菌から水素を抜き取って菌の働きを抑制するなど、主にOHラジカルの物質への作用を利用することで、空気の浄化や脱臭などの効果を生み出す。OHラジカルは単体ではなく、水の微粒子で包み込まれているために寿命が約600秒と長く、屋内空間などでも効果を得られるとする。なお、2003年当初は水を補給する形を採っていたが、2005年以降はペルチェ素子を使って空気中の水分を結露させて水を得る方式を採用している。

 今回の製品では、OHラジカルを発生させるための電極の形状を変更し、放電方式を変えた。従来は、同心円ドーム形状の対極板に放射線状に分散して放電するコロナ放電方式を採用していたが、今回は4本針形状の対極板に対して、針の先端部に向けて集中的に放電するマルチリーダ放電方式を採用した。その結果、OHラジカルの量は2011年に発表した第4世代の「ナノイー」デバイスに比べて、10倍の4兆8000億個/秒にできたとする。

電極の形状を変えた。
電極の形状を変えた。
[画像のクリックで拡大表示]