長崎空港の滑走路の隣に立地
長崎空港の滑走路の隣に立地
対馬から来た小型の航空機が着陸していた(出所:日経BP)
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大型の航空機が離陸
大型の航空機が離陸
滑走路の隣にあることを実感できる(出所:日経BP)
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連系用の昇圧変圧器などの前で、記念碑を除幕
連系用の昇圧変圧器などの前で、記念碑を除幕
約10kmの海底ケーブルを経て連系(出所:日経BP)
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神事の様子
神事の様子
(出所:日経BP)
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扇風機や、冷水を利用した空調機を多く持ち込む
扇風機や、冷水を利用した空調機を多く持ち込む
暑さ対策の一つ(出所:日経BP)
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 液化石油(LP)ガスなどを手掛けるチョープロ(長崎県長与町)と、太陽光パネルメーカーのソーラーフロンティア(東京都港区)は8月2日、長崎空港の隣接地に開発した出力約30MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「SOL de 大村 箕島」の竣工式を開催した。

 2015年4月に着工し、2016年7月に完成、前日の8月1日に売電を開始していた。

 発電事業者は、SPC(特定目的会社)である長崎ソーラーエナジー合同会社。チョープロとソーラーフロンティアが折半出資して設立した。

 長崎県で最大規模のメガソーラーになると同時に、飛行場に隣接するメガソーラーとしては、アジア最大級としている。

 初年度の年間発電量は、一般家庭約7500世帯の消費電力に相当する、約3700万kWhを見込んでいる。買取価格は36円/kWh(税抜き)で、九州電力に売電する。

 総事業費は約100億円で、約7割はプロジェクトファイナンスを組成して調達した。幹事行はみずほ銀行が務め、九州の複数の金融機関が参加した。

 滑走路の隣に立地することから、主に二つの点に留意する必要があった。一つは、太陽光パネル表面の反射光が、パイロットの視認性に影響を与えないようにすること。結晶シリコン系パネルの場合、カバーガラスに防眩加工を施した製品で対応するが、ソーラーフロンティアのCIS化合物系パネルでは元々、表面が黒っぽいことなどから、通常の製品で視認性に影響しなかったという。

 もう一つは、航空機の離着陸時に、滑走路から一定の距離の場所には、一定以上の高さのものを持ち込めないという「高さ制限」があった。例えば、重量物を運ぶクレーンや、杭基礎を打ち込むための重機は、この高さ制限に抵触するため、使えない場所がある。こうした条件に配慮しながら施工した。

 EPC(設計・調達・施工)サービスは、千代田化工建設が担当。パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。出力750kW・直流入力電圧1000V対応機を導入した。

 PCSの隣に昇圧変圧器を置き、PCSが出力した交流380Vから6.6kVに昇圧した後、発電所内の連系用の昇圧変圧器で66kVに昇圧し、そこから約10kmの海底ケーブルを通じて連系点に送電する。

 海底ケーブルの敷設は、住友電気工業が担当した。漁業や自衛隊のヘリコプターの離発着に影響しないように敷設場所を設定した。

 晴天に恵まれ、竣工式の神事や記念碑の除幕などは、気温が30℃を超える中で行われた。会場となったテント内には、扇風機に加え、冷水を利用した空調機が持ち込まれるなど、暑さをしのぎながらの式典となった。