米国の電気自動車(EV)ベンチャーであるTesla Motors社は8月1日、太陽光発電サービス大手のSolarCity社を買収、合併することで両社が合意に至ったと同社の公式ブログ上で発表した。再生可能エネルギー事業での垂直統合型企業は、世界で唯一という。

 今回の発表は、約1カ月前の6月21日にTeslaが明らかにしていたSolarCity社の買収提案に対して、SolarCity社が合意したことを示すものである(関連記事1)。SolarCity社側は、8月1日の時点ではTeslaによる買収に関して公式な発表を行っていない。

 Tesla社は、両社の合併によって、業務が効率化され、製品を完全に統合できるとしている(関連記事2)。

 顧客には、意匠性の高い太陽光発電と蓄電池のセットを単一の簡単なサービスで提供するとし、それを「一回の設置、一回のサービス契約、一個のスマホ用アプリ(one installation, one service contract, one phone app)」と、表現する。

 同社によると、買収によって最初の1年間に1億5000万ドルのコスト削減効果があるという。さらに、ハードウエアのコストや設置費用、製造の効率改善、顧客獲得コストの低減などによって、顧客のコストを節約するとしている。今後、Tesla社が保有する190店舗のネットワークや国際的な展開も活用する。

 SolarCity社の買収は、すべて株式交換で行う。買収価格は、7月29日時点のTesla Motors社の5日間の出来高加重平均価格に基づき、26億ドルの株主資本価値になるとしている。

 両社による合意のもと、SolarCity社の株主は、SolarCity社の一株当たりTesla社の普通株0.110株を受け取ることになる。SolarCity社の普通株は25.37ドルの価額としており、これは7月29日時点のTesla Motors社の5日間の出来高加重平均価格に基づくという。

 独立した財務アドバイザーや法務アドバイザーを起用した包括的な適正調査を行った後、Tesla社とSolarCity社の取締役会の独立した構成員が今回の買収を承認したとする。

 今回の合意では、SolarCity社に「go-shop」期間と呼ばれる45日の猶予が認められており、9月14日まで他者による買収提案を募ることが可能という。各社は、今回の買収に関する詳細を「Form 8-K」として知られる書式により米証券取引委員会(SEC)に申請した。

 両社の買収には、株主総会でそれぞれの株主の多数決による承認が必要であり、規制当局による承認も必要となる。このため、買収が確定するまでには、まだ曲折も予想される。Tesla社は、SolarCity社の買収手続きが2016年第4四半期に完了すると見込んでいる。