リソースアグリゲーション事業の取り組み NECら9社のデータ。
リソースアグリゲーション事業の取り組み NECら9社のデータ。
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 NECら9社は、経済産業省がエネルギー総合工学研究所を通じて公募する実証事業「バーチャルパワープラント構築事業費補助金(アグリゲーター事業)」に採択され、実証を開始したことを発表した(ニュースリリース)。バーチャルパワープラント(VPP:仮想発電所)の構築と、それを通じたリソースアグリゲーション事業(電力事業の各プレーヤーの要求に応じた調整能力を提供するビジネスモデル)の実現を目的とする。今回共同申請したのは、NEC、グローバルエンジニアリング、積水化学工業、東京電力ホールディングス、東京電力パワーグリッド、東京電力エナジーパートナー、東光高岳、三井物産、ONEエネルギーの9社。

 リリースによると、太陽光発電などの再生可能エネルギー(以下、再エネ)導入が急速に進んだ結果、再エネ出力の大きな変動や余剰電力の大量発生といった、電力系統の安定運用に影響を及ぼす課題が顕在化しつつある。電力系統を安定させるためには、火力発電などの「調整電力」が必要であり、火力発電設備の保有・維持コストが発生する。そのため、継続的な再エネ導入と電力系統の安定化を、低コストで両立させる仕組みが求められている。

 今回の実証事業では、社会に分散して存在するエネルギーリソース(蓄電池などのエネルギー設備や、デマンドリスポンスなどの電力を消費する需要家側の取り組み)をメガワット級の調整電力にするVPPを構築する。VPPは、分散するエネルギーリソースを情報通信技術(ICT)によって統合的に制御し、1つの発電所のように機能させる。将来的には、需要家が所有する蓄電池、給湯設備、電気自動車、太陽光発電等の多種多様なエネルギーリソースもVPPの一部を構成し、1つの大きな電力として利用できるよう拡張していくという。

 併せて、構築したVPPを活用するリソースアグリゲーション事業の成立性を検討する。具体的には、電力事業の各プレーヤー(送配電事業者、再エネ発電事業者、小売電気事業者)には要求に応じて調整電力を提供し、VPPに参画した工場・オフィス・家庭などの需要家にはその対価を提供する。共同申請した9社は、VPPの構築を通じて、ICTをベースとしたエネルギー・マネージメント・システムと、リソースアグリゲーション事業のビジネスモデルの確立を目指す。