実証するVPPの概要
実証するVPPの概要
(出所:関西電力)
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需給調整力を捻出し、一つの発電所のように機能させる
需給調整力を捻出し、一つの発電所のように機能させる
(出所:関西電力)
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実証で使う家庭や業務用・産業用の機器
実証で使う家庭や業務用・産業用の機器
(出所:関西電力)
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指令に対する特性が異なる設備ごとにサーバを用意し統合管理
指令に対する特性が異なる設備ごとにサーバを用意し統合管理
(出所:関西電力)
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 関西電力は7月28日、経済産業省・資源エネルギー庁の補助事業である「バーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業」を同日から開始すると発表した。

 電力系統に点在する需要家の機器をIoT(モノのインターネット)化して一括制御することで、アグリゲーター(需要家の設備を一括監視・制御する事業者)が、電力系統に点在する需要家の機器を一括で遠隔制御し、需要を抑制したり、創出できるようにする。

 これによって需要家の設備から捻出した需給調整力を有効活用し、あたかも一つの発電所(仮想発電所)のように機能させる仕組みを構築する。

 例えば、晴天時に太陽光発電所の出力が増え、電気が余る場合は、需要家の蓄電池を充電したり、逆に電気の供給力が不足する場合は、蓄電池から放電するなど、需要家の設備を使うことで、需給バランスの改善を目指す。

 具体的には、家庭にある機器として、HEMS(住宅エネルギー管理システム)、空調設備、給湯器、電気自動車、蓄電池、太陽光発電システムを制御する。業務用・産業用の機器では、BEMS(ビルエネルギー管理システム)、FEMS(工場エネルギー管理システム)、社用車、大型の蓄電池を制御する。

 実証では、需要家の機器ごとに、統合サーバからの電力需要の増減の指令に対する特性が異なるため、設備の種別ごとにサーバを用意し、統合サーバでこれらのサーバ群を管理する仕組みを実現する。

 統合サーバは、電力小売事業者や送配電事業者などとの取引に基づいて、需要家の機器の特性に考慮した上、それぞれのサーバに制御量を配分する。通信には、標準的な通信プロトコル(通信手順)に基づく規格を採用する。
 
 こうしたVPPの運用が軌道に乗れば、電力系統における需給調整力が増強され、太陽光など変動性の再生可能エネルギー電源のさらなる導入が可能になるとしている。また、電力小売事業者、系統運用者、再エネ発電事業者、需要家、地域コミュニティなどに対して、関連する多様なサービスを提供できるようになる。

 関西を中心とした需要家の設備を使い、2017年2月28日までの期間で実証する。関西電力のほか、富士電機、三社電機製作所、GSユアサ、住友電気工業、日本ユニシス、NTTスマイルエナジー、エネゲート、エリーパワー、大林組、関西電気保安協会、ダイヘン、Nature Japan、三菱商事の合計14社が共同で申請した。