ポルトガルの大手エネルギー事業者であるポルトガルエナジー(Energias de Portugal: EDP)社は7月5日、同国北部のモンタレーグレ(Montalegre)にあるラバガォン(Rabagão)河口で水上太陽光発電所が稼働したと公式に発表した。

ポルトガルのエネルギー大手EDP社が既存の水力発電所に併設した220kWの水上太陽光発電所の概要図
ポルトガルのエネルギー大手EDP社が既存の水力発電所に併設した220kWの水上太陽光発電所の概要図
(出所:EDP)
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 EDP社が水上太陽光発電の実証プロジェクトとして2015年に検討を始め、2016年6月に建設を開始していた。グループ内の3社による共同事業である。総投資額は約45万ユーロ。

 同社が保有するラバガォン水力発電所のダムの水面2500m2に840枚の太陽光パネルを並べた。フロートは、仏シエル・テール製を採用している(関連記事1)。水力発電所に併設した水上太陽光発電としては、世界で初めての事例としている。

 設備容量は約220kWで、年間の発電量は約300MWhを見込んでいる。稼働を開始して最初の7カ月間の稼働実績は、160MWhと良好で予想を上回っているという。

 水上太陽光発電は水面の冷却効果によって地上設置よりも発電効率の改善が期待できる。同プロジェクトでは、さらに既存の水力発電所の送電インフラを活用できるため、新しく送電線を敷設する必要がなく、コストを削減できることも大きな利点としている。

 EDP社は、今回の水上太陽光発電プロジェクトでラバガォン・ダムを選んだ理由として、この地域の気象条件が厳しく、極端な状況下で技術を検証できること、フロートの係留を実証するうえで地形が適切であることなどを挙げている。

 EDP社は持続可能性を公約に掲げ、洋上風力発電など再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組んでいる。同社が現在12カ国で運用する設備容量25.9GWのうち、73%が再生可能エネルギー資源によるものという。