軸受けなどの精密機器メーカーであるNTNは7月26日、風力・太陽光発電電力で、夜間にLED照明を自動点灯するハイブリッド街路灯の販売を開始したと発表した。
風力と太陽光の発電電力を蓄電池に貯め、夜になると放電し、LED照明を点灯する。
街路灯の市場では、風力と太陽光という2種類の再生可能エネルギーを使い、かつ、発電能力の高い製品が求められている。一方で、住宅地や公共施設などに設置する場合、風力発電設備の翼の風切り音による騒音が問題となるなど、高い静粛性が求められている。
そこで、NTNでは、独自の翼の形状による垂直軸風車を開発した。翼が回っている時の風切り音の発生を抑えたという。
翼は肉厚の形状とし、先端に設けたウィングレットと呼ぶ構造によって、翼の先端部における空気の剥離と渦乱流の発生を防ぐことで実現したという。
垂直翼は、どの方向から風を受けても、風の力を最大限に引き出すことができ、ロスの少ない風力発電を実現できるとしている。
付属の蓄電池は、満充電状態で5日間分の照明用電力を補い、災害時には非常用電源としても活用できる。
風力発電設備は出力0.2kWで、ローターの直径は0.8m、翼長は1.2mとなっている。太陽光発電システムは出力90Wとなっている。
翼や支柱の配色は、景観への配慮といった要望に対応できる。表示用のディスプレイを追加し、広告塔として活用する需要にも対応するなど、オプションの追加を予定している。
今回のハイブリッド街路灯は、5月に開催された伊勢志摩サミット(第42回先進国首脳会議)のメディアセンターとなった三重県営サンアリーナなどに設置されている。
同社では、このほか「マイクロ水車」や「小形風車」の製品化を予定しているという。