製品評価技術基盤機構(NITE)は、ノートパソコン(PC)、モバイルバッテリー、スマートフォン(以下、モバイル3製品)に搭載されたリチウム(Li)イオン2次電池(以下、LIB)による事故が年々増加傾向にあり、NITEに通知された事故だけで2012~2016年の5年間で274件に達しているとして注意喚起を行った(ニュースリリース)。

 2012年度に19件だったモバイル3製品のLIBの事故は、2013年度は33件、2014年度は48件、2015年度は66件、2016年度は108件と年々増え、5年間の累計で274件となった(図1)。その内訳は、ノートPCが110件、モバイルバッテリーが108件、スマートフォンが56件となっている。近年、特に増えているのがモバイルバッテリーの事故だ。2012年度は1件だけだったが、2016年は51件と、全体の半分近くを占めるに至っている。スマートフォンの急速な普及に伴ってモバイルバッテリーも市場が拡大したことから事故が急増しているものとみられる。

図1 モバイル3製品に搭載されたLIBによる事故件数の推移
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図1 モバイル3製品に搭載されたLIBによる事故件数の推移
モバイル3製品(ノートPC、モバイルバッテリー、スマートフォン)による事故は年々増加している。

8割近くは製品に原因

 事故原因の多くは製品に起因している。NITEの分析では、調査が済んでいる163件の事故うち、127件(78%)が「製品に起因する事故」だった(図2)。誤使用や不注意などの「製品に起因しない事故」は8件(5%)に過ぎず、残りの28件(17%)は「原因が不明のもの」と分類されている。

図2 NITEによる事故原因の区分
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図2 NITEによる事故原因の区分