独E.ONの米国法人であるE.ON Climate & Renewables North America社(E.ON)は25日、アリゾナ州ツーソン(Tucson)の電力事業者であるTucson Electric Power(TEP)社に周波数応答や電圧制御のアンシラリーサービスを10年間の契約期間にわたって提供することで両社が合意したと発表した。

 このため、E.ONは2MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に併設する出力10MWの定置型蓄電池システム「Iron Horse Battery Energy Storage」を活用するという。このプロジェクトはツーソンの南東にあるアリゾナ大学の「Science and Technology Park」の隣地で進められ、2017年の前半までに建設が完了する見込みである。

 E.ONはアンシラリーサービスだけでなく、電力購入契約(PPA)の締結によって太陽光による電力も提供する。具体的には、既に稼働中の「Tech Park Solar(TPS)」で6.6MW、「Valencia Solar facilities」で13.2MWを賄う。

 また、同社はTEP社がシエラビスタ(Sierra Vista)のフォートフアチューカ陸軍基地(Fort Huachuca Army Base)近くで運用中である17.2MWのメガソーラーの建設でもターンキー・ソリューションを提供したという。

 E.ON社は、出資先である米Greensmith Energy社と提携しTEP社向けにカスタマイズされた定置型蓄電池の設計や開発を進める。同社は米国中で3000MW(3GW)以上の太陽光や風力の発電資産を保有・運用し、今後も再生可能エネルギー事業への投資を続けるとしている。

 ドイツのE.ON本社も2014年12月に従来型の化石燃料を主体としたエネルギー事業を別会社として独立させる方針を発表した。本体では再エネをより重視する経営戦略に転換し、構造改革を急いでいる(関連記事)。