三菱自動車の業績が目覚ましい回復を見せている――。同社が2017年7月25日に都内で発表した第1四半期(2017年4~6月)の決算では、売上高が前年同期比で約3%増の4409億円、営業利益は同約4.5倍の206億円、純利益は230億円で黒字化した(図1、2)。

図1 決算発表会場の三菱自動車本社ビル
図1 決算発表会場の三菱自動車本社ビル
[画像のクリックで拡大表示]

 業績回復のカギは、2016年度にフランスRenault社と日産自動車などで構成する「Renault・日産連合」の傘下に入ったこと。特に“日産流”のコスト削減が営業利益を大きく押し上げている。日産は調達部品の原価管理を徹底し、各部品の材料使用量や部品構成から適正な調達価格を推定。部品メーカーとの価格交渉を有利に進めている。

図2 2017年度第1四半期の営業利益は206億円の黒字に
図2 2017年度第1四半期の営業利益は206億円の黒字に
[画像のクリックで拡大表示]

 同連合の新車販売台数は2016年度で996万台(関連記事:ルノー・日産、世界販売996万台でトップ3視野に)。三菱自が連合に加わったことで、ドイツVolkswagen社やトヨタ自動車、米GM社など世界販売台数で1000万台を超える自動車グループに迫る規模となった。1000万台級のスケールメリットを生かせば、部品をさらに安価で調達したり、プラットフォームの共通化により収益性をさらに高められる。三菱自は日産流のコスト削減手法をさらに取り入れ、2017年度通期の営業利益を前年度比で約14倍の700億円まで伸ばす計画だ。