富士経済は2017年7月25日、2016年の大型二次電池の世界市場は2兆6700億円だったとの調査結果を発表した。今後、環境対応車分野を中心に各分野で大きく伸長し、2025年には2016年比3.4倍の9兆212億円に達すると予測する。環境対応車分野(HV/PHV/EV車など)、電力貯蔵分野(電力貯蔵システムなど)、動力分野(フォークリフト、電動式自動二輪車)で採用される大型二次電池(LiB、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシタ/リチウムイオンキャパシタ、鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池など)と、その構成部材の世界市場を調査した。

■大型二次電池の世界市場
■大型二次電池の世界市場
(図:富士経済のニュースリリースより)
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 2016年の同市場は、環境対応車分野用途が50%以上を占めた。今後もLiBを中心に採用が増えるため、2025年には同市場の73%を占める見込み。また、電力貯蔵分野や動力分野も堅調な需要増加が予想される。電力貯蔵分野はLiBが中心であるが、NAS電池やレドックスフロー電池の伸びも期待される。動力分野は、コスト面などから鉛電池に根強い需要があるが、電動式自動二輪車を中心にLiBの採用が大幅に増える見通し。

 採用電池別では、LiBは今後も各分野で大幅な伸びが予想され、特に環境対応車分野を中心にウェイトが高まる。鉛電池は、マイクロEV市場の拡大や産業用の安定需要により、小幅の伸びが予想される。NAS電池とレドックスフロー電池は、2020年頃から電力貯蔵分野で大幅に伸びると予測。電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタは、2020年頃からマイクロHVを中心とした環境対応車分野での採用が進むとみられる。

 また、大型LiBの主要構成6部材(正極活物質、正極集電体、負極活物質、負極集電体、電解液、セパレータ)の世界市場は、2016年が6476億円で、2025年には3兆673億円まで成長する見通し。2016年は原料となる炭酸リチウムの価格上昇により、正極活物質の市場が大幅に拡大した。2017年はコバルトが価格上昇していることから、正極活物質の市場は更に伸びるとみられる。正極・負極活物質は、電池容量に直接影響する基幹部材であるため、低コスト化と高容量化が課題という。

 同社の専門調査員による参入企業と関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用した調査で、調査期間は2017年3~7月。