日本アイ・ビー・エムは、カーナビなど車載機器を扱うアルパインと共同で、自動運転時代を見据えた次世代車載システムの開発を始めた。米IBM社のIoTプラットフォーム「IBM Watson IoT Platform」とアルパインのカーナビ機器を組み合わせ、新しいサービスの創出を目指す。2016年7月26日に開催した説明会では、その基盤となる技術を複数紹介した。

「IBM Watson IoT Platform」では、各種センサーで収集した情報を、Watsonなどを用いてクラウド上で分析する。
「IBM Watson IoT Platform」では、各種センサーで収集した情報を、Watsonなどを用いてクラウド上で分析する。
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 Watson IoT Platformは、IBM社のクラウドサービス「IBM Bluemix」上で提供されるIoTプラットフォームで、同社のコグニティブ(認知)・コンピューティング・システム「Watson」が組み込まれている(ニュースリリース)。これを用いることで、クラウド上に収集したデータをWatsonや各種APIで学習・分析することが可能になる。日本アイ・ビー・エムは、自動車、エレクトロニクス、保険、産業機器、小売、通信の6つの業界にそれぞれ特化したソリューションをこのプラットフォームを使って展開する計画だ。

次世代車載システムを実現する、「IBM IoT for Automotive」の機能の例。
次世代車載システムを実現する、「IBM IoT for Automotive」の機能の例。
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 自動車業界向けのIoTソリューション「IBM IoT for Automotive」では、工事や事故の情報を含む道路状況や天候情報など、クルマの周囲で収集した環境情報をリアルタイムに分析することで、自動運転やADAS(先進運転支援システム)に寄与できるという。さらに、運転支援だけでなく、急ブレーキを踏む傾向などといったドライバーの運転特性や、車載部品の整備状況のような車両個々の情報をモニターすることで、「運転の安全度によって保険料を変えるテレマティクス保険や、車両の保守管理や故障の予測をするサービスも可能になる」(日本アイ・ビー・エムWatson IoT事業部事業部長の林健一郎氏)。