米フェイスブック社は21日、同社のConnectivity Labが開発中のドローン「Aquila」が、初めてのテスト飛行に成功したと、発表した。
Aquilaは高度18~27kmの高高度を無人で飛ぶ航空機(UAV)である(図1)。現在インターネットに接続できる環境のない地域を飛行させ、レーザー光やミリ波による高速データ通信によってネットへのアクセスを提供することを目指している。
フェイスブックによると、現在、ネットに接続できない環境下に居住する人口は約40億人という。
Aquilaの機体はほぼ主翼だけのV字形で、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で作られている(図2)。幅42m、重量は約400kg前後で太陽光パネルと蓄電池を搭載しており、太陽光で発電した電力で昼夜を通してプロペラで飛行できる。
航空力学的に効率の良い設計となっており、高度18kmでの巡航では5kWの電力しか消費しないという。これはヘアドライヤー3個分程度の消費電力である。
このような仕様により、Aquilaは約100kmの通信圏で地上や他のAquilaとの高速データ通信を行いつつ、最長90日間にわたる無着陸での運用が可能としている(図3)。
フェイスブックはこの数カ月間、約5分の1の大きさの模型で飛行試験を行っていた。原寸大のAquilaとしては、今回が初めての飛行だった。当初は30分間の飛行を計画していたが、試験として大成功であったため結果的に予定の3倍以上となる90分間を上回る長時間の試験飛行となったという。
試験飛行には同社創業者で最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏も姿を見せ、Aquilaの開発が順調であることを喜んでいた(図4)。
今回の実物大での試験飛行によって、航空力学特性、蓄電池、制御システム、操作人員のトレーニングなどを含めて性能モデルや部品などを検証できたとする。今後の試験では、Aquilaをより高速、より高高度で、より長時間にわたって飛行させ、最終的には18km以上の高度での飛行まで到達させる計画である。