溶融亜鉛メッキ鋼板製造工程への衝突噴流脱脂炉導入模式図
溶融亜鉛メッキ鋼板製造工程への衝突噴流脱脂炉導入模式図
(出所:4者共同のニュースリリース)
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衝突噴流式鋼板脱脂設備のバーナー部
衝突噴流式鋼板脱脂設備のバーナー部
(出所:4者共同のニュースリリース)
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(出所:4者共同のニュースリリース)
衝突噴流式鋼板脱脂設備のバーナー部
メタン専焼とメタン-アンモニア30%混焼の比較
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 大陽日酸、日新製鋼、大阪大学らの研究グループは、連続亜鉛めっき鋼板製造工程の前処理に適合できるアンモニア混焼バーナーを開発した。現在の連続炉と比べて、アンモニアを30%混焼することで、エネルギー効率を向上させるとともにCO2排出量を50%削減できることを検証した。

 将来的にアンモニア専焼とし、再生可能エネルギー由来の水素を原料にしたアンモニアを使うことで、CO2排出量をゼロにできる可能性がある。大陽日酸、日新製鋼、大阪大学、科学技術振興機構(JST)の4者が6月26日に発表した。

 家電や自動車の外板や建材などに使用される鋼板(原料鋼板)は、アルカリ脱脂工程や無酸化炉を通すことで、表面に付着する油分を除去してから亜鉛めっきを行う。これまでに、都市ガス(メタン)を燃料とする衝突噴流脱脂炉を導入することで、アルカリ脱脂工程や無酸化炉の一部設備が不要となり、プロセスの簡素化を可能にした。

 さらに今回、メタンにアンモニアを混ぜて燃焼できるバーナーを開発した。性能評価では、アンモニアの混焼率を10%、20%、30%と増やした結果、いずれの燃料の場合でも鋼板表面の温度分布は均一であり、400℃付近でメタン専焼と熱量が同等であることを確認した。

 また、メタン-アンモニア混焼において、鋼板加熱条件と鋼板の表面状態の評価およびめっき性の関係評価を行い、条件を最適化することでメタン専焼と同等かつアルカリ脱脂以上の脱脂性能が得られることを確認した。将来的には、再エネ由来の水素によるアンモニアを使い、アンモニア専焼とすることでCO2排出ゼロの達成も可能という。

 今回の研究は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」の委託研究課題「アンモニア直接燃焼」の一環として実施した。