大型二次電池の世界市場(図:富士経済のプレスリリースより)
大型二次電池の世界市場(図:富士経済のプレスリリースより)
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大型LiB構成部材の世界市場(図:富士経済のプレスリリースより)
大型LiB構成部材の世界市場(図:富士経済のプレスリリースより)
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大型電気二重層キャパシタ構成部材の世界市場(図:富士経済のプレスリリースより)
大型電気二重層キャパシタ構成部材の世界市場(図:富士経済のプレスリリースより)
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 富士経済は2016年7月21日、次世代環境自動車分野・電力貯蔵分野・動力分野で採用される大型二次電池の世界市場は、2015年の2兆474億円から2025年には4.1倍の8兆3417億円まで拡大するとの予測を発表した。次世代環境自動車が市場拡大をけん引し、2015年時点の53%から、2025年には75%以上に拡大する見通しだ。

 電力貯蔵分野は、2015年時点では最も規模が小さいが、今後は系統用電力貯蔵システムや住宅用蓄電システム向けなどが大きく伸びるとみられる。鉄道車両・LRVやフォークリフトなどの動力分野は、2015年時点で28%を占めるが、他分野に比べると2025年までに予想される伸びはやや小さい。

 電池別では、リチウムイオン電池(LiB)の規模が最も大きく、今後も次世代環境自動車分野を中心に大きく伸びるとみられる。鉛電池は、2015年時点では動力分野の需要が最も大きいが、2025年には次世代環境自動車分野の需要が最大になると予想される。電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタは2020年頃からマイクロHV向けで、NAS電池やレドックスフロー電池は2020年頃から電力貯蔵分野で成長が期待される。

 特に注目される市場として大型LiB構成部材を挙げており、2015年3641億円から2025年には6.1倍の2兆2269億円まで拡大すると予測する。大型LiBは、各分野で需要が順調に増加しているが、特に数十kWh程度の大容量電池パックを搭載するPHVやEVで採用が大幅に増えると予想される。部材別では、正極活物質、セパレーター、負極活物質の構成比が高い。電池容量に直接影響する基幹材料である正極・負極の活物質は低コスト化と高容量化が、セパレーターや電解液は活物質の高容量化に対応した安全性が求められている。

 このほかにも、大型電気二重層キャパシタ市場は、2015年の79億円から2025年には218億円になると予測。次世代環境自動車分野の需要が中心で、2015年は中国のPHVバス向けが増加。今後はマイクロHV向けや、動力分野でのフォークリフト向けなどが期待される。電極材・電解液ともに日本メーカーのシェアが高い。電気二重層キャパシタの量産に伴って、今後は構成部材の低価格化が進むとみられる。

 調査方法は、同社専門調査員による参入企業・関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用。調査期間は2016年4~6月。