図1:製造工程におけるトレーサビリティー把握のイメージ
図1:製造工程におけるトレーサビリティー把握のイメージ
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図2:タブレット端末に検査情報を入力する様子
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 富士通と富士通システムズ・イースト(本社東京)は、衛生陶器の生産効率の向上を目的として、TOTO のベトナム拠点であるTOTO VIETNAM社の工場にIoTシステムを導入した(ニュースリリース)。全工程の生産状況や品質情報を原料とひも付けて可視化するシステムを開発。TOTO VIETNAM社の第1工場において、2016年7月1日から稼働させている。

 新システムは、仕掛かり品あるいは各種設備に貼り付けたICタグやバーコードを通じて、原材料の調合から検査までの全工程における品質や進捗状況、さらには原料調合時の温・湿度、衛生陶器に吹き付ける釉薬の種類など、あらゆる実績情報を収集する(図1)。これにより、製品一つひとつのトレーサビリティーをリアルタイムに捉えられる。製品出荷後も製造時の品質情報を把握することで、問い合わせにも迅速に対応できるという。

 水回りで使われる衛生陶器にはミリ単位のゆがみや傷も許容されないので、TOTOは、乾燥・焼成の工程で陶器が縮むことを考慮して衛生陶器を設計するとともに、細部にわたって検査している。新システムでは、この検査結果を漏れなく記録するために、製品の前後/左右/上下の計6方向の図面をタブレット端末に表示させ、不具合の位置や状態を瞬時に登録・確認できるようにした(図2)。端末に登録したデータをサーバーに蓄積し、分析することで、不具合が発生しやすい部位の傾向や起因する設備、環境要素を把握でき、製造プロセスの改善を図る。

 検査結果を入力するための画面については、現場の作業員に操作してもらって見やすさや操作性を確認。文字の大きさや入力項目の配置、キーボードのサイズなどを工夫した。